山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
悩みながら生きるのが人間だから
先日、53歳の誕生日を迎えました。
毎年、職員たちがサプライズでお祝いをしてくれるのですが、今年は2日前に「施設長、次年度の体制の件で相談が…」と職員が深刻な顔をして相談に来たので、「どうした?」とこちらも真剣に話を聞き出したら、「happy birthday to you♪」と歌いながら職員たちが乱入してきて、お祝いしてくれました。持ちきれないくらいたくさんのプレゼントを、みなさんからいただきました。うれしかったです。
53年、生きました。若い頃は、この年齢になる自分を想像できませんでした。特に、10代の頃は学校でいじめにあっていたので、友達に誕生日を祝ってもらうことなんてありませんでした。今は、こんなにみなさんにお祝いしてもらえて、自分は本当に幸せだと思います。10代の頃の自分に、「あと40年くらい経ったら、みんなにお祝いしてもらえるぞ」って教えてあげたいです。
だいぶ苦労して生きてきたせいか、多くの人から相談を受けます。「山口さんなら、なんとかしてくれる」こう言っていただけるのは、正義の味方に憧れ、子どもの頃から、ウルトラマンや仮面ライダーになりたかった私には、とてもうれしいことです。
仕事のこと、人間関係のこと、親の介護、プライベートなこと、相談は多岐にわたりますが、実は私は、みなさんの相談をほとんど解決はしていません。それは、みなさんが求めていることが解決ではなく、「共感」であることが多いからです。
みなさんの悩みに、「そうだね」「つらかったね」「がんばったね」と共感します。
だって、みなさん本当にがんばっているから。
一人暮らしでがんばっている人、家族を守るためにがんばっている人、子育てに悩みながらがんばっている人、仕事が終わって家に帰ってから、すぐに食事、洗濯、掃除と家のことをがんばっている人…。なにが正解だなんて、誰も教えてくれません。職場で役職になったって、親になったって、みんな初めての一年生。どうしたらいいかわからないなか、必死にがんばっているのだから、誰かに「それでいいんだよ」って共感してほしい。
ケアマネジャーさんたちのケース会議に参加したとき、“これが正解”というものが出なくても、「正解がわからなくても、悩みながら生きるのが人間だから」と言っていたケアマネジャーさんを見て、“素敵だなぁ”と思いました。
そのとおり、悩みながら生きるのが人間。みんながんばっている。
それでいいんだよ。
著書のご案内
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山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8