山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術
超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。
- プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)
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介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。
いままでも、これからも
令和5年12月1日で、施設長に就任して丸5年になりました。
就任した最初の年は、より良い施設にしたくて、躍起になっていました。いま、他の会社の人を見ていても思いますが、役職に就任した直後は、みなさん張り切って何かを変えようとしますね。当時の私も、まさにそんな感じでした。
突っ走るあまり、まわりが見えていませんでした。人の気持ちが離れていっていることにも気づかず、立ち止まってみたら、まわりから人がいなくなっていた…。そんな感じでした。いま思うと、恥ずかしいです。
そんな状況のときでも、突っ走る私に伴走してくれて、現場の改革のために必死にがんばってくれた当時の統括主任Aさん、私が本当に苦しいときに助けてくれた課長のKさんには、本当に感謝しています。いままでも、これからも。
会社は社員がいて成り立っています。トップは信頼できる部下がいて成り立っています。
就任から5年を迎えた当日、職員から「施設長って、いつも笑っているから、笑っていない顔が思い出せない」と言われました。これはうれしかったなあ…。
5年前、私はきっと鬼のような形相で、毎日、仕事をしていたのではないかと思うのです。
あまりにも必死で、笑う余裕すらありませんでした。その私が、5年経った今、「いつも笑っているから、笑っていない顔が思い出せない」と言われるようになりました。
なぜ、うれしいかと言うと、実際には、毎日、笑っていられるほど楽しいわけではなく、いまでも毎日、苦しいことが多いんです。それでも、私は施設長ですから、ご利用者が安心して過ごせるよう、職員が安心して働けるよう、できるだけ笑顔でいることを心がけています。「笑っていない顔が思い出せない」ということは、それが実践できているんだな…、とうれしくなったのです。
私自身はこんなことを心がけていますが、他の人には求めません。どんなにつらくても、それを表に出さず、耐えていくのが男の美学。昭和を生きてきた私は、いつの間にか、こんな価値観を自分に植え付けてしまったようです。
ですが、人間は、生きるうえで、逃げ道も用意しておかなければいけないと思います。限界までがんばってしまって、つぶれてしまったら、元には戻れないのです。
「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫」と答える人は、大丈夫じゃないそうです。本当に大丈夫な人は、「何が?」って答えるそうです。なるほどですね。
まわりに、がんばり過ぎている人がいたら、手を差し伸べてあげてください。
「大丈夫!」と意地を張る人がいたら、必要なときに手が届くところで寄り添ってあげてください。
人間は、ひとりでなんて生きていけないですから。
5年間、Aさん、Kさんをはじめ、たくさんの人に支えられてきました。
みなさんへの感謝を忘れることなく、自分も誰かを支えられる人になりたいです。
いままでも、これからも…。
著書のご案内
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山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!
介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8