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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

あの日の君へ

 9月18日は、敬老の日でした。
 私の勤務する施設でも、デイサービスと特養で敬老会を開催しました。ご高齢の方を敬い、長寿を祝う日。ご利用者に喜んでいただくため、職員が一所懸命準備をしていました。
 私は施設長という立場なので、会に先立って挨拶をするだけ。おいしい役割です(笑)。

 それでも毎年のことなので、挨拶もネタ探しが大変です。インターネットで調べていると、今年、日本で百歳を超える方は9万2139人。最高齢は116歳という情報がありました(厚生労働省発表)。116歳の方は、明治40年生まれとのことです。

 敬老会が終わった後、職員と雑談するなかで、「私がこの仕事に就いた二十数年前は、戦争中の話をしてくれるご利用者がたくさんいました」という話が出ました。私も同じです。はじめて高齢者介護の仕事に就いたのは、23年前。当時は、ご利用者から、戦時中の苦労話をたくさん聞かせていただきました。とてもありがたいことでした。

 たった23年しか働いていない私、たった52年しか生きていない私ですが、「あの頃は…」と、振り返る思い出があります。
 ふと、40年前の自分を思い出しました。中学校に入学した私は、いじめにあい、そこから私の人生は、暗く長いトンネルに入りました。
 当時の私は、早く学生生活を終えたい、早く社会に出て、早く大人になれば、いまの生活から抜け出せる…。そう信じていました。

 けれど、本当は違いました。その環境から抜け出したいと逃げているだけでは、いつまで経っても変わることはできません。当時は、そのことがわかりませんでした。
 大人って、思っていたほど大人じゃなかったよと、あの頃の自分に教えてあげたいです。

 もしかしたら、私に限ったことなのかもしれませんが、52歳になったいま思うのは、人間の中身は、歳を重ねてもさして変わらないのではないでしょうか。大人という衣を着た自分が、大人らしい振る舞い、社会人らしい振る舞いを覚えただけ。大人になったら、何かが変わるわけではありませんでした。
 そのことを、あの日の自分に教えてあげたいです。

 高齢の方たちは、いまの年齢になって、何を思っているのかな…。
 そんなことに思いを馳せられる職員でありたいです。

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8