メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

涙めし

 みなさんは、泣きながらご飯を食べたことがありますか。

汚い話ですが、泣きながらご飯を食べると、しょっぱい味がします。
 これは、子どもの頃に、親に叱られて泣きながら食べたご飯の味とは少し違います。

 大人になってから、悔しくて、情けなくて、涙で食べた「涙めし」。
 どんなにがんばっても、勝てなかったり、
 どんなに努力しても、うまくいかなかったり、
 どんなに思っても、伝わらなかったり、
 そんな悔しさと、自分の力が足りないことへの情けなさで、「流した」ではなく、「あふれた」涙で食べるご飯…。それを私は、「涙めし」と言っています。

 私は、涙めしの味を知っている人が好きです。人生は順風満帆にいくに越したことはありませんが、負けを知り、悔しさを知っている人のほうが、他人の痛みがわかる気がします。

 「あきらめなければ夢は叶う」なんて言う人がいます。私の経験上、これは少し違うなあと思います。
 あきらめなければ夢が叶うわけではなく、あきらめたら夢はそこで終わる。
 あきらめなければ、夢を見続けることができ、夢を追い続けることができるのです。

 私は、23年前から介護の仕事を始め、「どうすれば、ご利用者にとって幸せな環境ができるのか?」「どうすれば、職員にとって働きやすく、やりがいのある環境ができるのか?」をを常に考え、行動してきました。
 その姿を見る人が、私のことを「熱いね」「若いね」と、冷ややかで、少し馬鹿にしたような感じで言っていました。
 23年前、29歳だった私は、52歳になりました。でも、この気持ちは変わらないどころか、より一層、強くなるばかりです。
 だから、いまでもうまくいかなくて、自分の力が足りないことに、悔しくて、情けなくて、涙があふれてくることがあります。いまだに、涙めしを食すことがあるのです。

 熱く生きることが、正解だとは思いません。いまの時代に合っていないかもしれないです。ただ、悔しくて、自分の力が足りないことを情けなく思い、涙があふれてくるほど実現したいと思う夢や目標をもって生きていることは、誇りに思います。そういう夢に出会えたことを幸せに思います。

 「熱いね」「若いね」と馬鹿にされても、夢に向かって熱く生き、若々しくいられる自分が結構好きです。

 でも、涙めしは、もうそろそろ食べたくないです。笑

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8

【前の記事】

あなたが必要です

【次の記事】

口ぐせ