和田行男の婆さんとともに
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「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
ベトナム行記(その2)
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ベトナムのある老人ホーム職員の月給は、日本円にして三年前が3万5000円(当時レート換算 庶民の平均月収は2万円と聞いていた)だったようですが、今は7万円(現レート換算)でほぼ倍額。それでも若い人が応募してこなくなったと、現地の方が遷り変りに驚いていました。技能実習生の募集も非常に難しくなっているようですし、大きくて力のある送り出し機関でさえも、若者を集めにくくなっているそうです。
ちなみに三年前にベトナム渡航時1万円をベトナム通貨「ドン」に替えると200万ドンでしたが、先日の渡航時は173万ドン(空港 宿泊したホテルでは160万ドン)でした。こうした円安による影響もあるでしょうし、ベトナムの国民総生産の伸びからみても、日本は「稼ぎ」で見れば若い人にとって魅力のない国になっているのかもしれませんね。
そんな状況下にあって、僕らはグループ全体で15名の採用に対して25名の応募があり、しかも若者ばかりでしたから幸運だったと言わざるを得ません。
前回お伝えした現地の老人ホームで、指導者的立ち位置で仕事をしている日本人(ナイスガイ)によると、「それはすごいこと。最近では聞けない話だ」と言っていましたから、余程のことなんでしょう。
これは一言でいえば、「受入前の段階から現場実習、日本語学習、生活面まで各部署で実習生に携わる職員さんたちが丁寧に取り組んでくれた成果」だと思っていますし、送り出し機関や管理団体との信頼関係が非常に良好なことも大きく影響していると思います。
僕は今回面接には入らず、ひたすら家庭訪問に専念しましたが、応募者の6割しか採用できず、採用面接にあたった者は厳しい選択をせざるを得ず「心苦しかった」と言っていました。
合格者の中の何人もが泣いて喜んでくれていたようで、それも前回までになかった光景だったように思いますし、狭き門を突破し、合格に泣いて喜んでくれた実習生たちのために、丁寧に取り組んで応えていかねばと改めて思わされました。
日本の介護業界もかつては「介護職」に就きたい者にとって狭き門でしたが、今では「来てくれてありがとう」と、僕ら採用する側が泣いて喜んでいますからね。
ベトナムに初めて渡航し、日本に来たがっている若者たちがたくさんいることを知り「何としても応援したい」と思ったのが四年ほど前のことですが、早いもので今年は「技能実習一期生」が三年間の実習期間を終え、帰国する者、特定技能ビザに切り替えて日本に残る者と、それぞれ次の道を歩み始めました。日本語がとても上手になりました。
彼女・彼たちにとって日本という国がどう映ったのか本音は知る由もありませんが、まだ身近にいるベトナム人たちが日本人と男女づきあいをしている話は聞いたことがありませんから、意外に「壁」に厚さがあるのかもしれませんね。
先日、法務大臣が「技能実習生にとってキャリアパスが描きづらく、構造的に人権侵害が生じやすい制度になっている」と指摘し、抜本的な制度見直しに向けて有識者会議を設置すると表明しました。
人口減少の中、根っこから労働力が不足し、かといって移民を口に出せない中、ツギハギでしのいできた感は否めず、移民も含めて議論の俎上にのせて各種施策を見直すことに僕は大賛成です。
今の段階でベトナムに技能を持ち帰る先がない業種に、技能の移転を目的とした技能実習制度を使うのは無理があるし、労働力の不足を技能実習制度で補うのも無理があります。それぞれの目的に応じた仕組みを整えるべきではないでしょうか。
写真
いたずらかと思いますが、ある町の高級そうなレストランのトイレ入口の上位に貼ってありました。こういういたずらグッズは、世界中にあるんでしょうね。
下の写真は、「自動チャーハンづくり機」とでも言いましょうか、ご飯(オレンジ色のものは飯)と具を入れてスイッチオンにすると、自動的に撹拌してくれます。ちなみにこげてくると煙がモクモク立ち上り、まさに「炒め飯」って感じでした。珍しがって見ていると、僕らに見せるために改めてセットして動かしてくれました。気づかいある方がホント多いです。
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下の写真は、見ての通りガソリンスタンドで給油中の光景なのですが、これまた見てのとおりスタンドの敷地外・路上に止めての給油で、そのため給油ホースが見ての通り「ながぁ~い」んです。
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下の写真でも、車半分は路上にはみ出していますからね(矢印が敷地と道路の境目)。狭いガソリンスタンドだったので、どうするのかなと見ていたら、給油機に直角止め路上活用給油でした。店員さんのキャップがベトナム感いっぱいですね。
ちなみにベトナムも国産車が登場していました。高級車でしたがね。庶民に届くのも、そう遠くないかもです。
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