和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
BCP
国は介護事業者に対してBCPの策定ならびに訓練の実施を義務づけました。BCPとは「Busines continuity plan」の略で、日本語で言えば「事業継続計画」です。
29日、計画策定に向けた基礎研修を受けましたが、話を聞いていて思ったのは、被災の原因想定を膨らませてしまうと今の時代、「ミサイルが飛んで来たらどうするか」なんていうことまで思い描いてしまう人ってたくさんいるんだろうなってことでした。
20年ほど前なら地震だって「そのうち」程度に思っていた人が多数いたでしょうし、僕もそのひとり。
毒薬が地下鉄にばらまかれ日常に潜む集団殺害の恐怖を感じ、高層ビルに飛行機が突っ込んだ映像に度肝を抜かれ、阪神大震災で思いもしなかった関西圏での大地震に思いもしなかった自分にグサッと刺され、東日本大震災での大津波にグサグサッと刺され、思いもしなかったウイルスの世界的規模での感染に日常生活が脅かされ、ロシアのウクライナ侵攻での核兵器使用を示唆する発言に無力さを憶えましたが、こうした「思いもしなかったこと」が連続している中で、こうしたことは「思っていなきゃいけないこと」になってきている風が地球規模で吹いていることを肌で感じるからです。
どんなことも「あり得るよな」って思ってしまいますが、BCPの策定でそこまで目を向けると限りない想定となってしまいます。
そこでまずは、研修講師も言っていましたが、「起こり得る被災原因」は「地震やその後の津波による水害」というように的を絞って、そのうえで「停電三日間」「ガス欠三日間」「交通遮断三日間」というように「急に起こり得る事象」を想定して、その中で事業をどうやって継続するかに目を向けた計画を立てるのがよいのではないかと思いました。
つまり、原因は地震であれミサイル着弾であれ、事象は「停電」なので、それに対処できることが現実問題として不可欠だからです。
また、以前受講したBCP研修で「夜間帯に従事しているときに被災・停電を想定した机上訓練」をやっていたのですが、僕もそうしたことを言葉では伝えてきましたが、実際のところそれを想定した訓練をやっていないと職員さんは動けないだろうなと強く思いました。
「BCPの策定と訓練、何か面倒だなぁ」って思いがちですが、地震、大型化した台風、線状降水帯による大雨で街ごと水没、噴火、ウイルス、ミサイル、テロ。
ミサイル以外はわが国でも起こっていることであり、BCPって何より優先して取り組まなければならないことだと本当に思えてきました。
やっぱ、研修って大事ですね。
写真
コンビニで買い物を済ませ500円玉で支払いをすると店員さんから「新しい500円はまだ珍しいのですが、お取り換えしましょうか」と声をかけてくれました。まったく意識できていませんでしたが、その場で比較すると全然違う硬貨でしたね。
それにしても、粋なはからいをされる店員さんでしたが、介護の仕事をして欲しいなぁって思いました。