和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
光輝高齢社会へ
総務省が発表した人口推計で、高齢者の人口が前年に比べて111万人増えて3296万人に達したという。これは、イラク、ウガンダ、カナダの総人口に匹敵する数だそうだが、高齢化率は25.9%、4人に1人が65歳以上ということになる。
中でも際立っているのは、総人口の8人に1人が75歳以上で1590万人、平均寿命世界一の国NIPPO。これは世界に誇れることではないか。
ヒト科の最大寿命115年~120年、限界寿命90年~95年と学問的にいわれ、人類の平均寿命70歳とあわせて考察すれば、高齢者が多い日本の社会は、ある意味では成熟社会ともいえ、戦争がなく、死に至る疫病が蔓延することもなく、生まれてから死ぬまでの生存年数が学問の寿命に近づいているのは、とても喜ばしい限りである。
ところが、どうも高齢社会に抱くイメージは良くない。
それは高齢者が多いということと、総人口に占める高齢者の割合が高いということが同じように論じられているからではないか。
僕の問題意識は「高齢者が多い社会」ではなく「子どもが少ない社会」である。
敬老の日に「高齢者社会」だけを報道しないで「少子社会」と合わせて取り組んでもらえれば、今の日本の社会が抱えている「ホントの課題」がもっと浮き彫りになってくると思うが、どうだろうか。
僕は、うちの会社では自称:少子高齢社会対策本部長なので、職員さんにも「子どもを産もう」「子どもを産んで育てられる会社にしよう」と呼びかけている(結婚して子どもを産もう!と呼びかけていないせいか、子どものできるほうが先の人が多いのは気のせいかな。ハハハ)。
うちの職員さんが、子ども会やPTAなど地域の自治活動等に積極的に参画して活動している話を聞くと、「社会的な仕事をしてるな」と尊く頼もしく感じるし、僕もやらなきゃ!って思える。
世間では「地域包括ケア」が声高に叫ばれているが、それは高齢者増加対策ではない。そこをはき違えると「ホントの課題」が見えなくなる。 子どもを産みたくなる社会、子どもが“社会の子”として社会の中で育まれる社会、そんな社会が高齢者にとって良くないわけはなく、年をとっても社会的に果たさねばならないことは山ほどあり、くたばってる暇はないはずだ。
どうも今の日本の社会は「高齢者を大事にし過ぎる」が、そのわけは、高齢者自身ができることまでやってあげることがビジネスとして成立しているからに他ならないのではないか。
いくつになっても「できることを自分でする」のは人としての基本だ。だから、できることを他人にしてもらう時は、余分にお金がかかる。
運転できるのに運転業者を頼むとお金がかかる。
掃除できるのに掃除業者を頼むとお金がかかる。
調理できるのに調理業者を頼むとお金がかかる。
できることを自分でするユースホステルよりも、できることまでしてくれるホテルのほうが高いのも同じこと。
このことは今まで何度も言ってきたし、また改めて書くとして、高齢者が増えることに課題があるかのようにいわれているが、むしろ過保護の状況をつくってそこにお金をかけ過ぎて、世間とはかけ離れた感覚で介護業が公金でやられていること。そのことで、できることまでやってあげて、できることをどんどん奪ってしまって「できる高齢者」を減らしていること。
そこにメスを入れないと、「高齢者が増える=負担が増える」の悪循環は止められず、支援の量を減らしてコストダウンを図るという高齢者にとっては忍びない社会になってしまうだろう。
高齢者が増えても、子どもも増え、高齢者の自立度が高ければ、より成熟した社会となるのではないか。
光輝高齢社会NIPPONを目指して、もうひとり子どもを産むことにする。ハハハ
写真
認知症対応型通所介護に通ってきた利用者たちが、事業者所の前の環境整備をされているのですが、そこは子どもたちの通り道でもあります。高齢者と子どもを街で見かける町っていいですよね。
ある町に行くと、町の中に子どもはもとより高齢者もいなくてゴーストタウンのような感じでしたが、デイケアの扉を開けると、建物の中にたっぷり高齢者が押し込まれていました。
考えねばである。
- 全国グループホーム団体連合会『第2回全国フォーラム』
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日時 10月1日(水)13:00-17:30 開場は30分前より 会場 五反田スタンダード会議室
※東京都品川区西五反田2-21-1五反田Kビル2階・3階・5階
電話:03-5719-4894参加費 2000円 参加定員 400名 - ■内容
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- ◎現場からの報告
「被災地からの未来へのメッセージ」福島県/宮城県
「地域密着としての未来へのメッセージ」高知県/群馬県 - ◎基調講演
「介護保険法の目的を達成するために、グループホームに期待すること 」(仮題)
講師 厚生労働省老健局高齢者支援課
認知症・虐待防止対策推進室長 水谷忠由氏 - ◎シンポジウム
「地域包括ケア、力を尽くせ!グループホーム」
- ○コーディネーター
町永俊雄氏(テレビキャスター/元NHKエグゼクティブアナウンサー) - ○コメンテーター
水谷忠由氏(厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室長) - ○シンポジスト
高橋紘士氏(国際医療福祉大学大学院 医療福祉学分野教授)
大谷るみ子氏(福岡県高齢者グループホーム協会会長、大牟田市グループホームふぁみりえホーム長)
和田行男(東京都地域密着型事業者協議会会長、(株)大起エンゼルヘルプ事業部長)
- ○コーディネーター
- ◎現場からの報告
- ■申し込み・問い合わせ
- 全国グループホーム団体連合会事務局(つげの実事務所内)
(担当)事務局長 林田俊弘
〒170-0003 東京都豊島区駒込3-30-3 3F
電話&FAX:03-5974-2562 E-MAIL:contact@gh-japan.net
URL:http://gh-japan.net
ぜひとも来てください!(和田)