和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
-
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
プログラミング授業は介護を変えるかも
うちのちび小学六年生の授業参観に行くと、僕らの時代にはなかった「プログラミング的思考で、プログラム人間(これをロボットとします)をつくろう」というものでした。
耳にするようになった「プログラミング」とは、コンピュータに「おこなって欲しい動作を指示書としてまとめること」のようですが、プログラミングの知識を活用することで「アプリやシステムやゲームの開発」から「ロボットやAI開発」が可能になるようです。つまり「元」ですかね。
例えばロボットの仕事として「A地点から直線上にあるB地点に移動して、B地点にある物を手にし、A地点に持ち帰る」というイメージを描いたとします。
それが小学校の教室の机の前に座っているロボットなら、まずは机の前に「立つ」→机をかわせる場所(机の横)へ向かうために「向きを左に変えて〇cm前進」→再び向きを変えて「B地点まで〇cm前進」というようにプログラムしていくというものです。
これは僕の「婆さん支援の見極め」と同じで、授業を聞いていて夢中になってしまいました。
つまり、ある仕事をするロボットをつくるために、ある仕事に至るまでの行動を分解して、分解したものをある仕事に至るまでの順番に添って手順化するというのです。
これは「ロボットをつくる」にあたって、その工程をプログラミングするということですが、僕の仕事においては「つくられたものがこわれた状態」に対して支援するわけですから、プログラムのどこがこわれたかを見定めることが、支援の入口になります。
お茶を飲みたいと思ってから、お茶を口に含むまでの工程を「〇して・△して・□して」と分解すると、脳の病気によってどこに支障がきているか、身体の病気等によってどこに支障がきているかが見えるようになり、見えればそこに支援を組み立てることで介護保険制度が謳う「有する能力に応じ自立した日寿生活を営むことができるように」を実現できることでしょう。
これからの時代、子どもの頃から「分解して考える」ということが「思考の元」になれば、きっと「介護」も、次の次の世代までいけば、能力を分解して見極めることもなく画一的に世話をすることは、少なくとも「有する能力に応じ」と謳った介護保険制度における介護とは別物になることでしょう。
早くそうなって、それに対する対価(介護報酬)も別物にして欲しいものです。
写真
最近雲の写真ばかり載せていますが、夏と秋が入れ替わるこの時期、台風や前線の影響もあり~ので、空がとっても芸術的なんですよね。目が離せない毎日です。