和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
好きなことは楽だから楽しい
自宅で空を眺めていると雲がいっぱい。
めちゃくちゃ久しぶりに「雲」に遊んでもらいましたが、雲ってホント愉しいしステキ。
久々にカメラを手にして近所の土手に駆け出しました。
高速道路から見た雲も迫力ありました。
光と風と雲と人工物
素晴らしい芸術禍です。
あまりに楽しそうに戯れていたのでパチリ
連れ合いに撮られてしまいました。
僕がこれまで見た夕焼けで恐ろしさを感じたぐらいすごかったのは、この業界に入った翌年1988年、痴呆性高齢者処遇技術者研修実習先特養の庭先から見た夕焼けで、この世の終わりかと思うほどでした。
その頃携帯電話はなく、しかも実習中だったのでカメラも持参していなく写真に残っていませんが、からだの震えが止まらなかったことを記憶しています。
逆に肩透かしだったのはオーストラリアの夕景で、乾燥したオーストラリアに夕焼けを望んだ僕が間違っていました。ハハハ
でも太陽が沈む時間帯に見たエアーズロックの刺激的な赤い岩肌は忘れられませんがね。
久しぶりにカメラを手にしたのは、連れ合いが運営する介護施設(グループホーム、小規模多機能型居宅介護、デイサービス)の利用者・入居者のポートレートを撮るためで、皆さんの葬式用写真を敬老の日に合わせてプレゼントするためです。
平成6年デイサービスに勤めていたころに始めた「葬儀用写真撮影」ですが、僕らが撮って額入れしてプレゼントした写真は、ほぼ遺影として使われ、お通夜等に行くとご家族から「和田さんが言うように、いいタイミングで写真を撮ってもらっていて良かったです。しかも、いい顔で撮れていますもんね」と心底喜ばれました。だから毎年撮って葬儀用写真を更新していました。
今日で8月が終わり、明日から9月で日本全国敬老月間に突入します。この機に、顔ぞりをして、丹念に髭剃りをして、男女とも軽くお化粧をして紅を入れ、清潔感あふれる衣装に着替えて、べっぴん・美男な葬儀用写真を撮るのはいかがでしょうか。
死への準備なのに、どこかユーモアがあって笑いを誘い、とても楽しいひとときを過ごせることでしょう。死って本当は生きる力になるはずですもんね。
理由?
それは簡単明瞭で、どなた様であろうが生まれた瞬間から死に向かって生きているからです。
ただ、日ごろから職員さんたちが意識して表情筋を緩める会話や笑いを起こしていないと、レンズを前になお表情は固まり、かちんこちんの没個性顔になります。
それが、こうしてあらたまった写真を撮るときには顕著に「日ごろ」が出ます。「日ごろ」って簡単に取り繕えない「積み上げの財産」なんで、怖いですね。
雲もそう、日ごろから空に関心を寄せていないと雲の違いにさえ気づけないでしょうからね。不謹慎ですが、台風が通過したあとの雲は表情豊かで、なかなかステキですよ。