和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
困る人を思い描くと困ってまって
「和田さん、どうしようか、ほんと迷っているんよ」
いつもお世話になっている喫茶店のマスターが僕にこぼした言葉ですが、事情を聴くと「コロナで緊急事態になってもランチタイムには普段と変わらぬくらいお客さんは食べに来てくれてるんけど、休業要請に応えるべきかどうか。しかも休業による助成制度は適用外だし、迷っている」と言い、重ねて「お金のこともそうだけで、うちは高齢者が多いし、認知症の人もいるし、その人たちが困ることを思うと、困ってまって。ねエ~」と。
店員さんみんなマスクを着用し、お客さんが出るたびにテーブルを毎回消毒し、こまめに窓を開けて換気し、ウイルスを培養させるから暖房を入れないで欲しいと苦情を言われながら店を開いているマスターの根っこには、店を閉じれば本当に困ってしまう人たちへの思いやりを感じます。
よく言われる「お金の問題」じゃなく、それが本音なんだろうなと思えました。
名古屋は喫茶店文化の街で、市民とりわけ高齢者にとって喫茶店は生きていくために欠かせないインフラでありコミュニティで、互助の場です。
「集うな」「自粛」って言われても、集いの場があるからこそ生きていられる人にとっては「暮らしを捨てろ」って言われたも同然で、その場を提供しているマスターも、その場を暮らしの軸にしているお客さんもコロナ苦悩者です。
コロナ渦に圧倒されている人が世界中にいますが、きっと「新型コロナウイルスと共存できる日」がくるまで、ぐるぐると渦に巻かれるんでしょうね。
うちの一番下の五歳娘は、「とっとォ、ちんがたコロウイルだから、とうきょうのおしごとにはいかないでね」なんて、まるで戦場に行くかのように言いますが、その感覚をもって自律することが大事なんでしょうね。五歳娘に教えられます。
追伸
新型コロナウイルスが世を席巻し、今じゃその名を知らない者はいないんじゃないかと思いますが、実は別の恐ろしいウイルスによる恐ろしい日本の現状があることをご存じでしょうか。情けないことに、僕は連れ合いに聞いて初めて知りました。
その名は「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症」で、子宮頸がんの95%以上はこのウイルスが原因だそうです。
しかもなお知って恐ろしさを感じたのは、子宮頸がんは若年層に増えており、国立がん研究センター情報サービスによると、日本では毎年1万人がこのガンにり患し、毎年2,900人ほどが亡くなっているそうです。1日8人もですよ、8人も。
流行性のウイルスはめちゃくちゃ話題になりますが、こうした地道に人の命を奪っていくウイルスのことを知らない、性行為で感染し、しかも一度だけの性行為でうつるウイルスであることを知らない、さらに予防できるワクチンがあって男性も接種している国があるというのに、日本での接種率は1%未満でWHOから警告されていることも知らない自分が恥ずかしくなりましたが、知った以上少しでも知らべて知ったことを、こうした機会を使って知らせていこうと思いました。
写真
織田信長で有名な安土城のそば、琵琶湖畔沿いの街・近江八幡市にある「ラ コリーナ近江八幡」というバームクーヘンで超有名な和菓子屋の店舗ですが、僕の大好きな建築家・藤森照信さんの設計です。
コロナ騒ぎになる前に行った時の写真ですが、すでに菜の花が咲いていました。
写真の建物はメインではありませんが、独特ですよね。
興味ある方は「藤森照信作品」で検索すると愉しそうな建物がたくさんでてきますよ。