和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
丁寧
ベトナムからの技能実習生が入社し、介護現場に配属した。
まだ2週間ほどだが、おおむね順調な滑り出しである。
実習生は現地送り出し機関に多額のお金を積んで入って全寮制で勉強し、僕らは渡航して面接をして内定を出し、実習生は大変な努力を重ねて日本に来る最低条件である日本語の語学力試験をクリアし、僕らは異国に送り出す心配を少しでも軽減すべく親御さんに会うために家庭訪問や現地で家族も交えた交流会を開催し、煩雑な入国のための手続きをこなし、実習生は日本での指定研修を履修。
実習生も僕らもお互いに力を尽すことで今日を迎えることができた。
しかも、介護の技能実習の制度がまだ海のものとも山のものともわからない数年前から、いつか技能実習に介護が加わることを予測してベトナムに行き、様々に準備してきた人がいたことで実現できたことであり、そのどれが欠けても入社には至らなかっただろう。
さて日本に来て、うちに配属されて2週間。
会社としては毎週実習生との面談を行い、気になることの早期解決を図りながら進めるようにしているが、それもこれも技能実習生を単なる労働者不足の穴埋め的に考えているのではなく、日本で働きたいという実習生たちを応援するという軸の考え方があるからだ。
応援すると言った以上、丁寧に進めるのは当たり前なのだが、ふと頭をよぎったのは「ちょっと待てよ、これって日本人でうちで働きたいと思って来てくれた人たちに対して、ここまで丁寧にかかわってきたか」ということで、考え込んでしまった。
見直さなければである。
実習生たちは、毎朝、寮の周りの清掃を行っているようで、その甲斐あってご近所で評判の住人だとか。これもまた、地域住民の一員として暮らしていくために会社側から助言したことだが、これもまた「わがふり直せ」である。
追伸
僕が上京すると、それに誘われるように急に関東直撃予想の台風が発生。僕が名古屋に帰る翌日は進路を西に向け東海直撃に。ほんと台風さんに好かれてるわ。嵐男未だ健在である。
この台風のおかげで、隅田川の花火大会で準備していた連中はてんやわんや、北海道に行く僕も主催者もやきもき、ベトナムに行く連中もやきもき、ちびっ子たちの運動倶楽部も開催されるかどうかで我が家はドタバタ。
「和田さん、いいかげんにしてください!」って聞こえてきました。ほんと、すいませんですが、花火大会も含めて結果的にはまるーく収まりましたからね。
写真
長崎駅前の様子ですが、1953年生まれの路面電車後方に見える白い横線は、高架を作っているのですが、きっと長崎新幹線工事ですね。
長崎市は長崎電気軌道社の路面電車を大正四年から市民の足として守ってきた街ですが、いよいよ新幹線の到来ですね。時代は常に次代ですね。
それにしてもこの電車は1953年生まれですから、僕のちょい先輩66歳。路面電車そのものは1915年からですから104歳。それもこれも丁寧の結果ですね。ぜひ長崎に行った時には乗ってみてください。これも名物ですから。時期がうまくはまれば、1911年製108歳の電車や、納涼ビール電車、花電車に出会えるかもです。