和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
介護職は「リハビリテーション師」
105歳のグループホーム入居者およねさん(仮名)が亡くなられました。入居して14年になります。
タバコが大好きで、うちの職員たちが入居してから一人で駅前のお店に行けるように支援し、それが可能になり、それを何年も続けられました。
グループホームではタバコを自分で持っていただくことはOKにしていますが、マッチやライターなど火の元はお預かり。
お店に行くといつもマッチをもらい、それを持ち帰るのですが、それを「職員がそっと抜きとる」の繰り返し支援でした。
入居者が一人で行動できるように支援することは、事業者・従事者だけでは成し得ません。
ご家族がいればご家族の同意が必要ですし、保険者にもお伝えしたうえで、しかも近隣住民や店員さんのお力添えも必要です。
皆さんのご理解やお力添えがあればこそ成し得た姿です。
一人でお店に出かけていた姿が、認知症になり、要介護状態になりかなわなくなっていきますが、そこに僕らがかかわることでその姿を取り戻す。まさにリハビリテーションであり、地域包括ケアっていうんでしょうね。
介護職は「リハビリテーション師」です。
僕がグループホームに管理者として従事した時に入居者の状態を見て、描いたその方々の生きる姿は、職員に付き添われて街中を歩く姿ではなく、入居者同士で、入居者がひとりで歩く姿でした。
ひとりで美容院に行けるようにするには、どうしたら可能か。
入居者たちだけで散歩できるようにするには、どうしたら可能か
地道な積み重ねをもって成していきましたが、それも僕がその姿を描いたからこそ。
描きって大事ですよね。
僕らの先輩は、自分たちの暮らしを描き、切り拓いてきたんでしょうからね。それがあるから今があるってことです。
およねさんで学んだうちの介護職たち
いまどこで何をしていようが
およねさんを通じて学んだことはしっかり国民に還さないとね。
合掌
写真
もう20年ほど前の僕の実践、入居者たちだけで外出のひとコマです。
職員たちは付いて出ませんが、こそっと写真を撮りに追いかけたところ、近所の洋品店で「ああでもない、こうでもない」と洋服に夢中になっていました。
この姿を実現するまで2年はかかりましたね。
追伸
毎年開催している北海道カッパーズの「トークライブ」が終わりました。
今年はオリジナル3曲をぶらさげてのライブでしたが、何よりうれしかったのは、「歌い手が楽しそう」と観客が感じ感想をくれたことで、その歌い手カッパーズは、ほぼ崖っぷちを生きている連中たちなだけに、尚更です。
歌い手たち自身がカッパーズに励まされ・勇気づけられ生きていることを実感しているのですから、いい感じ・好循環トーク・ライブです。
もう七年続けているとか。我が事ながら、驚きました。
先日ブログでアップした「ぼくの夢」に局がつきました!