和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
対等感
2018年6月12日
今日という日は歴史に刻まれる日になることだろう。
そう、初めての米朝・朝米首脳会談の日。僕は政治家でも学者でも何でもなく単なる日本国民の一人としての感想だが、アメリカのボスが北朝鮮のボスの身体に触れるとすかさず触れ返すのを見て、核をもった北朝鮮のボスは、核大国アメリカのボスと「対等」を意識しているように思えて仕方がなかった。
僕らでも、Aさんにお会いしに行った時に「和田さん、どうぞ」と、Aさんから腰のあたりに手をかけられて座ることを促され、「ありがとうございます」と座るだけでは「対等感」を見せられないが、「○○さんこそ、どうぞ」と腰のあたりに手をかけ返せば、対等感を相手に感じさせられる。
それもこれも「核を保有したからこそ」と北朝鮮のボスは思っているかもしれないが、傍目には「その通り」と映ったことだろう。
この「対等感」を言い換え「共に」だとしたら、僕らの仕事ではとても重要なキーワードである。
僕らの仕事は「僕ら事業者・従事者だけ」では成せない。
本人、家族等、行政関係者、医療関係者、近隣住民などが「共に」の関係になって初めて成せるといっても過言ではないはずだが、どうも実感として、事業者は弱く映る。
その背景に「お客様」「サービス提供者」「監督者」「納税者」などがあり、お客様に逃げられては事業が成り立たないため、どちらかというと「従う」ことが見受けられやしないか。酷い言葉でいえば「言いなり」だ。
家族や本人から「お金払っているんだから」と言われるひとことで屈してしまう、法令で謳われてもいないことを行政指導で行政官から言われ、「わかりました」と引き下がる。「医者である僕に意見をするのか」と言われ、何も言えなくなってしまうなどなど。
僕らにとって大事なことは「共に成す」ことで、要介護状態にある人たちにとって必要なことを専門職として意見・提案・実践する、無茶なことを求められて短絡的に従うのではなく、話し合いを重ね「折り合い」をつけていくことだと考えているが、どうも「従」になってしまう。
本人や家族に対しては、言われるがままにやってあげれば満足度は高いかもしれないが、それでは公金を使った公務にある専門職とはいえない。
また逆に、本人や家族に対して恫喝し言いなりにさせようとする職員の言動も「共に成す」とは相反する。
「言うことを聞けないのなら、病院に入ってもらいます」
「これをしないのなら、夕食はあげません」
これは立派な「恫喝・虐待」だが、何の悪気もなく平然としている職員に「対等の意識」はないだろう。
合わせて役職者等と一般職員との関係も同じだ。
一般職の人たちを自分の言いなりにしようと「チカラ」をふりまく役職者がいる。
「私が介護支援専門員(計画作成担当者)で介護計画を立てているんだから、私の言う通りにしなさい」
「俺が管理者なのだから、俺の言うことを聞け」
北朝鮮のボスにとって「核保有国」の代紋は、アメリカのボスと対等に渡り合う・折り合うために必要不可欠だったのだろうが、結果として「効果あり」を世界中に見せつけた。
本当のところはわからないが、僕がそう感じた「効果ありの対等感」を以って、僕の仕事の中で「対等になれていない事象」に対して「何が足りていないのか」「何が必要不可欠なのか」を改めて見出したい。
これから自分の中の別の自分と「趣脳会談」開始である。
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先日愛媛県松山市に隣接する松前町であった講演会に招かれて行った時のことですが、妙に人が集まっている処があったので地元の人に聞くと「人気のかき氷屋がある」と教えてくれたので覗きに行くと、ご覧のとおり。この列が途切れることなく続くというのだから、よほど美味しいのだろう。
しかも、ひとつ作るのに時間を要し待ち時間が長いにもかかわらずです。
買われた人にお願いして写真を撮らせてもらったのだが、「でかい・蜜たっぷり」のかき氷でした。
「これ食ったら頭がキーンと痛くなるやろな」
「最期まで食えるかな…」
どこの町にも「人気店」というのがありますが、核戦争に突入するかもしれない世界情勢とは無縁の平和感。
いろんな事件がありますが、日本人の根っこは「おっとり」なのかもしれませんね。嬉しくなってきました。