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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

家族は特殊な関係


 母親が死んだ。
 あと1~2週間の命と妹から連絡を受けましたが、会いに行くことはしませんでした。
 もうすぐ息を引き取ると連絡を受けた時も「よろしくな」とメールで返しただけ。
 初七日を迎えた今日も仕事している。

 酷い息子だと思う方もいることでしょう。
 本当に酷い息子だと僕も俯瞰できますが、これが僕の正直な行動です。

 僕らは仕事の中で婆さんのご家族にたくさん接しますが、とかく「あの家族は…」というように、「温かい家族」とか「冷たい家族」というような評価をしがちですが、家族は人間関係の中でも極めて特殊な関係で、特殊がゆえに、家族以外の人間関係にはない、自分にとっての「プラス」も「マイナス」もあるものです。

 僕が何故母親に対してそういう言動をとるかの理由を話せば、「そうでしたか」となる人もいるでしょうが、話せない理由が存在するのも「特殊な関係だからこそ」ということもあります。

 誰だった家族の中の事を家族以外の人に話せないことがいっぱいあることでしょうし、だからこそ現象だけで評価するのは筋違いというものです。

 あるときスタッフルームで、「とめさん(仮名)の奥さん、ホント冷たい人よね」というスタッフ間の話が聞こえました。

 とめさんは脳梗塞の後遺症で半身マヒの状態になり、僕らがお迎えに行くとお母ちゃんは、「早くしてよ」と声を荒げ、時には手を出したりしていましたが、僕は「現象だけで家族を評価するのはおかしい」とスタッフに伝えました。

 それが聞こえていたかどうかは「?」ですが、そのあとこんなことがありました。

「和田さん、聞いてちょうだい」
「どうしたんや」
「和田さんは、私の事を酷い人だと思っているでしょ」
「何でや、何でも話してや」
「実はね…」
 話の内容は旦那の事でした。

「こいつ(本人の前でした)、こんな身体になる前、酒は喰らうわ、女はつくるわ、帰ってこないわ、お金は入れないわ、もう離婚してやるって思っていた矢先に脳梗塞で倒れやがったのよ。いくら酷い旦那でも、こんな身体になった人を見捨てて出ることはできなかったの。」

 と大声で泣き出しました。

「そうか、お母ちゃん、辛かったなぁ、悪かったなぁ」
「・・・」
「どんと仕返ししてやり。とうちゃん(とめさんに)、しょうがないな。自業自得や。」

 と僕も泣きながら話しました。

 誰にも言えなかった胸の内を話ししてくれたお母ちゃんは、その後も変わらず「早くしなさい」と声を荒げ、時には手も出していましたが、顔は笑えるようになりました。

 亡くなったあとお線香をあげに行かせてもらいましたが、お母ちゃんは「いいときも、いいところもあったのよ」とうっすら泪をためて話してくれました。

 家族を評価するのは素人のやること。
「きっと何かわけがある」と思いやれるのが専門職ではないでしょうか。

追伸

 そんなこんなでブログに向かえなかった僕でした。遅くなってすみません。

写真

 山梨県北杜市を経由して青梅市・都内へ行くことになり、電車で行こうか車で行こうか迷いましたが、どう考えても車の方が便利な行程だったので車を選択。
 ところが、相も変わらず僕が向かうところ「嵐・大雪」となりました。

 時間がかかってもいいように通常3時間弱で到着できるところを1時間余分にみて自宅を出ました。

 高速道路上が一番適している「やるべきこと」、それは楽曲(カッパーズという北海道の仲間たちと組んでいるバンドのオリジナル曲)に歌詞をつけることで、曲を繰り返し流して「歌詞」をイメージしながら快調に走っていたのですが、気が付いたら曲がらなければならない「ある地点」をずいぶんと行き過ぎてしまい、大慌てで引き返しました。

 それでも予定時間に到着できる余裕はありましたが、岐阜県から長野県に入るトンネルを出たら大雪。除雪車が出て大渋滞にはまってしまいました。

 そうこうしているうちにトイレに行きたくなり、やっとの思いで見えた側道に車線変更したら、なんとインターチェンジの出口。

「あちゃぁ~」

 オシッコを済ませて再び戻りましたが、何と反対方向、つまり来た方向へ入ってしまったのです。しかもUターンできる次のインターチェンジまで26キロもあり、しかも雪は酷くなるばかり。

 ほんまに自分のオッチョコチョイに気が狂いそうになりました。

 そんなこんなで開始時間1時間遅れで到着し主催者にはご迷惑をおかけしましたね。通常の倍以上の6時間もかかってしまいました。ハハハ。お許しを。


 前回のブログでご紹介した喫茶店のサンドイッチです。美味しそうでしょ。ぜひ一度は食しに行ってください。ただし、ない時もあるのでご承知おきくださいね。