和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
感じ
暑いと感じて「暑さをしのぐ手立てをとる」
暑いと感じる前に「暑さをしのぐ手立てをとらされる」
僕が目指す「支援」は前者だ。
どういう事かと言うと、例えば、グループホーム入居者の買い物支援を行うため外出することになったとしよう。
玄関を出た婆さんが陽射しに暑さを感じ「熱いわねぇ」と言うかどうか又、言葉には出さなくても暑さを感じた態度をとるとか表情をするどうかを見極める。
その言動が見られたら「帽子でも日傘でも持参しますかぁ」と投げかける。
その投げかけに対して「そうねぇ」となったなら、「じゃあ、取りに戻りますかぁ」と行動を促す。
ということで、婆さんが陽射しを浴びる前に僕の方から「今日は暑いですから帽子をかぶるなり日傘をさすなりしてくださいね」とはしないということだ。
合わせて、日よけの手立てがあった方が良いと僕は判断しているのに、婆さんからは暑さを感じた言動がなかった場合は、婆さん自身が「暑さを感じて日よけをした方がいいかな」と思えるような言葉かけをしてみて、それに対して「どうするか」の様子をうかがい又、次の一手を繰り出していく。
介護の世界では、雨でも、雪でも、テカテカ天気でも、寒い日でも、それを感じて自ら手立てをとる前に職員が先回りしてしまい、ひどいところでは奪いとってしまい、こうした人として長年にわたって付き合ってきた「自然を感じて行動をとる」という「ふつう」を失わされていくのだ。
猛暑の続く日本列島、「暑い」と感じたときに、次どういう言動がでてくるか、婆さんと響き合わせてみてはどうだろうか。
追伸
あちこちガタがきています。
副鼻腔炎から中耳炎になり、人様と会話するのがおっくうになっています。
何せ自分の声を世に放ち、それを自分の耳でキャッチして脳に呼び戻している感じが全くなく、自分の中だけですべてが回っている、飛行機に乗った時の耳貫ができていない感じがずっと続いているのですから、自分にうっとうしくなります。
写真
よしこさんは、季節が夏でも「寒い」と感じれば長袖を着るし、季節に関係なく陽射しを避けたいと感じたら傘をさして歩きます。
もちろん傘に、日傘も雨傘の区別なんてなく、玄関先においてある目についた傘で最も明るめの派手な傘を選んでさして歩いていました。ステキでしょ。