和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
つながる早期「発見・診断そして治療」
昨夜、認知症に取り組んでいる友人医師と会って、最近の治療法について聞いた。
早期発見・早期診断と言われて久しいが、いくら画像診断技術の進展で早期に発見・診断できても、その治療法がなければ、本人にとって直接的な意味は薄いと言えなくもない。
だが、その早期治療薬ともいえるクスリの開発が最終段階にきているようで、そうなれば「早期発見・早期診断・早期治療」となり、これは人類にとって画期的なことである。
認知症の原因疾患として一番多いのはアルツハイマー病と言われているが、アルツハイマー病は認知症が現れる20年以上も前からアミロイドという物質が脳にたまる病気。
そのアミロイドがたまっているかどうかの検査法としてアミロイドペットという検査方法が確立され、日本でもいくつかの病院で受けられるそうだ。
検査は自費で1回10万円ぐらいらしい。ただし、いつアミロイドがたまり始めるかわからないので1回受ければ済むという話ではなく、気になる人は毎年、少なくとも5年に1回位受けないと検査の意味が薄れてしまう。
この検査でアミロイドを見つけ、開発されている薬を使ってアミロイドを蹴散らしていけば、アルツハイマー病を根治できるということらしい。
認知症という状態にある方の推計数は462万人と言われているが、その60%ほどがアルツハイマー病によるものと言われているので、国民にとっては朗報である。
10年以上前に国の役人から「和田さん、アルツハイマー病は根絶できる日が見えてきていますよ」と聞かされ「全国の介護職を代表して言わせてください。失業させないでくださいと」と悪ふざけな話をしたことがあったし、その後も著名な医師・研究者から「いよいよの段階にきているよ」と聞いたりしてきたが、どれもうまくいかなかった。
でも、この話は素人なりに聞いていて次元が違うように感じたし、いよいよ「国民の幸せ・介護事業者不要倒産」が現実味を帯びてきた感があり、我が身かわいさでいろんなことを考えねばである。
とはいえ、毎年検査に10万円払える人ばかりではなく、かといって保険適用は国民負担であり、たやすい話ではなく、まだまだ国民はこの病に不安を抱き、病に苦しめられることだろう。
しかもアルツハイマー病以外の原因疾患が462万人のうち40%いることも忘れてはならない。
この業界にきて「痴ほう症・認知症」とおつき合いさせていただいて30年。
医療も介護も、ものすごいスピードで移り変わってきていると僕は思っているが、それは国民の願いに添った事であり、医療の進展に負けないように「添える介護業界」にしていかねばと改めて思った。
追伸
今週は、急性副鼻腔炎から中耳炎となり集中力を欠いた日が続きブログも書けませんでした。
受診し薬物が入って軽減してきましたが、まだもやもやしており、癌と闘う友人からは「自分の癌も副鼻腔炎が原因のひとつと言われた上咽頭癌からの頸部悪性リンパ腫転移。すぐに専門医へ受診を」とメールをもらい、「そうかぁ」とため息をついている次第です。
知らないこととは言え蓄膿症から癌とは驚きますが、皆さんも気をつけてくださいね。
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認知症になり、要介護状態になり、介護事業所に入居になると傘をさして歩く姿を失わせてやしないでしょうか。
買物に出かけようとして玄関を開けると「あら、雨ね」と「雨の日」を感じ、「傘は、どこかしら」と状況に合った必要なものを探す姿を失わせることがないように僕は取り組んできましたが、これも特別な姿ではなく、この時期特にどこでも見られる光景ですよね。
僕が子供の頃は「風情ある雨の日の連続」が梅雨でしたが、今は亜熱帯地域のような「土砂降り豪風雨」で恐ろしい限り。
でも、暮らしの中から「雨の日・傘をさして行動するふつうの姿」を失わせることがないように支援していきたいものです。