和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
サービス付きは正しくない
朝日新聞5月7日付の一面で「サ高住 事故3362件」と報道されました。
サ高住(さこじゅう)とは、サービス付き高齢者住宅の俗称で、安否確認と生活相談以外の支援(サービス)が必要なときは外部の事業者によって「介護」を提供する仕組みになっています。
つまり、そもそも「サービス付き」ではなくて「サービス外付け」なのですが、国民は「サービスがある」と思うでしょうから「要介護状態」でも利用するでしょうし、実際には管理人がいる程度の仕組みですから、建物内に支援するスタッフがいない時間帯があるということであり、ミスマッチにより事故が起こりやすいのは当たり前のことです。
報道によると、入居者の88%が要介護認定者、30%は要介護3以上で、3362件の事故のうち半数以上の1730件が居室内で起こり、そのうち991件は午後5時から翌朝9時に起こっているそうです。
居室内で起こる事故は介護職員を24時間配置する「特養」「老健」「グループホーム」でも起こりますが、サービス付き高齢者向け住宅のように「数時間後に発見」という事態には至らないでしょうし、緊急対応をとることで大事に至らないで済むこともあります。
僕はこの仕組みができたときから、サービスが外付けなのに「サービス付き」と謳うことに疑問を投げ続けていますし、逆に24時間職員が配置されているサービス付き高齢者向け住宅(例えば、サービス付き高齢者住宅に24時間支援型介護事業である小規模多機能型居宅介護を併設しているなど)は、新しいタイプの施設として規定したほうが国民にとってわかりやすいと言い続けています。
サービス付き高齢者向け住宅の所轄は国土交通省、外付け介護事業は厚生労働省となっていますが、特養のように「住居」に要するコストまで厚生労働省管轄にして「介護」に包めるほうが不自然で、「住居」の施策は国土交通省、住居に住まう人を支える仕組みは厚生労働省というサービス付き高齢者向け住宅の根っこの考え方は、僕は間違っていないと思っていますし、特養なども「住居」と位置づけ「介護付き集合住宅」(介護付きシェアハウスのほうが新しいかな)と謳うほうがわかりやすいと思っています。
報道の中で厚生労働省担当者が「事故ゼロは現実的ではなく、どこまで防げるのかを事業者はきちんと説明するべきだ」というコメントは正しいと思うだけに、「サービス付き」と謳う事や、要介護状態になった時に再び移り住まわせるのも現実的ではないことを踏まえて「在り方」を再検討してもらいたいものです。
写真
柿ではありません、トマトです。
黄色いミニトマトは見たことがありますが、普通サイズの黄色トマトは初めて見ましたので買っちゃいました。
調べてみるとトマトって世界中で8000種(日本で120種出回っているとか)もあるようで、元の語源は「金色リンゴ」らしく、元は黄色だったのかもしれませんね。
トマトは赤色って思い込んでいる僕には、何かと刺激的なトマトでした。
高速道路のサービスエリアで、トマトを扱うような業種の店ではなく(パン屋だったかな)、そこのオーナーが好きでつくっているようですが、味は「グッド」でした。
追伸
それにしても福岡の3億8千万円はどこへいったのでしょうかね。森友も原子力発電所事故もそうですが、あっという間に「次」へ移っていく時代って、何となく不気味です。