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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

出迎えテープ


 今年も「島」の仲間に会いに行ってきた。
 今年は、恒例だった研修会はなく、「釣り」だけを目的に行ったのだが、一番印象に残ったのは釣れた魚のことじゃなく、深刻な人口減少の話を聞いたことだ。

 東京や名古屋といった大都市に住んでいると、労働力不足は自分たち介護業界だけじゃなく、宅配の制限やコンビニの24時間営業廃止などを通して生活場面で見聞き実感しているが、人口減少の深刻さを感じている人は、そうはいないのではないか。

 ところが「島」の状況は、今年卒業した高校生200名あまりのうち島に残るのは4%程度で、あとは本土へ行くというから深刻だ。
 また、そのうち10%程度は医療系の学校に入るそうで意外に人気なのだが、介護業界に皆無というのも、僕としては更に深刻な話だ。

 しかも卒業したら戻ってくるわけじゃなく、数年経ったらUターンしてくるわけでもない。圧倒的に片道切符しかもたないで出かけた状態。

 大人たちも子どもたちの未来を描くと「島を離れるのはしょうがない」「それでいい」「島の外の世界を見た方がいい」と思っているし・そう思うしかなく、それだけに事の「深さ」を感じた。

 また、違う角度から見れば、1年365日の日数よりも逝去された人の数のほうが多い年もあるようで、若者は圧倒的に島を離れ、残った人は1日一人以上亡くなっているということだ。

 またまた違う話題では、昨年1年間で12000頭のイノシシを減らしたが、およそ島の総人口数と同じで、明らかに人の数の数倍イノシシが住んでいる島になっているそうな。いずれ「イノシシの国」になってしまいかねない。

 僕が学生の頃(40年以上前)地図を眺めていて思った疑問は、「なんで日本の国境沿いにある島々が国有地でないのか」ってことは前にも書いたが、学生の頃に今ほど明確に描けていなかったとしても、その理由は「国土警備」「国土保全」の観点からで、その観点から島民を護らなきゃいけなんじゃないか、軍備をもつことよりも島を買われない施策や島に住んでもらう施策が必要だと「島々」に出向くようになって更に強く思っている。

 つまり「労働力不足を何とかしなきゃいけない」って話ではなく「国土を護るために何とかしなきゃ」ってことで、それは「いち行政」が担えるはずもなく、国家施策として取り組むべき事柄だ。

 そうしたことを背景に介護業界もかなり深刻で、住民の高齢化に伴って「生活支援」は重要課題であるにもかかわらず、生活の支援者である介護職員の不足&高齢化で、今も先も不透明な事業運営を強いられている。
 これも「いち事業者・事業所」で課題解決できるはずもなく、「島」に対する根本的な国家施策の中で位置づけて取り組んでいくべきことではないか。

 僕がいくらブログで吠えたところで、総理大臣がこのブログを読むわけもなく、代議士や各省庁の官僚たちが見ているわけもないが、「島」をどう位置づけて何をしていくかは急務の課題であり、取り組みが目に見える形で必要なのではないだろうか。

 総理、よろしく!

写真

 泣けました。
 別れテープ&♪蛍の光にもらい泣きしたわけではありません。
 こうして毎年毎年延々と人口減少が続いてきたのか・これからもいくのかと思うと「島の未来・日本の未来」を憂いて泣けました。
 毎年この時期になると、若者たちが若ものたちに見送られるのでしょうが、「見送った人が次に見送られる」が続いているわけで、何も手を打たなければ「誰にも見送られずに船出する若者がいる」ときがくるのかと思うと、生意気ではありますが、憂うだけで何もできない自分の無力さに涙が止まらなくなりました。
 いつか「出迎えテープ」が乱舞する港になれればいいですね。それを見る日まで、この「島」に通い続けたいです。
 僕にとって大切にしたい人が暮らす「この島」へ。

僕には「ふじやまの夕景」に見えた陽光。
天候は荒れましたが、美しい景色も見えました。

追伸

 ちなみに「釣り」は、恒例になってきていますが「嵐の釣り」でした。
 今年は雷さんが顔を見せるほど天候が荒れましたし(陸ではヒョウが降ったようです)、イルカの大群に遭遇(イルカがいると魚は逃げていなくなるとか)するというオマケまで付きました(推定数1000頭だそうで、イルカ絨毯の上を僕らの船が航行したということです)。
 天も海上も海中もアレ荒れ!で、今回も「嵐男と呼ばれる和田さん」の底力を見せつけてきました。
 ちなみに釣り日を挟む「島に渡った日」と「島を離れる日」は快晴・無風・凪の上天気、絶好の釣り日和でしたよ。ハハハ

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