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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

2017年  今年もよろしく! ね


 今年はどんな年になるのでしょうか。
 トルコで新年を迎える催し会場で銃をぶっぱなしたイスラム国のテロリスト。

 良いかどうかは別にして、かつては戦時中でさえ「○○一時休戦」があったり、非戦闘員や民間人を巻き添えにしないとか、戦国の世でさえ百姓は殺さないといったように、「国家間の殺し合いにも人の世の秩序や美」のようなものがあったと思うのですが、そんなことおかまいなしの人類になってしまっている=退化しているのではないかと危惧しています。

 いや、でもそれも、退化なんて大袈裟なことではなく、人類史700万年の進化をひも解くと「くすぶっていた程度だったのが燃え広がった」ってくらいのことなのかもしれませんがね。

 人間って厄介ですよね。

 えらい悲惨な話で幕開けした2017年ですが、皆さんはどんな年にしようと考えていますか。

 僕は「風に任せる」でいいかなと思っています。

 自分が「どうしたいか」で能動的に動く年ではなく、北風が吹けば北風に合わせ、台風には台風なりに合わせ…。

 という生き方を描くのですが「欲」っていうのがまだまだ強いようで、そんな「風任せ」なんていうようには生きられないですね。

 ですから今の僕は、僕の中からどんな「どうしたい」が湧いてくるのかを楽しみに待っている最中なんです。

 すでに“ロック”は3月に北海道で噴火予定だし、「釣り旅」は、西海、五島、隠岐の島、山形沖、瀬戸内海を計画しているし、ちびっこ野郎どもとの「オトコ旅」や、一家総出の「家族旅」も予定が入っていますものね。

 あれ、気づけば「旅」の企画ばかり…。
 そうねんです。名前が「行男」ですもの、どこにでも行こうとするのは「名は態を表す」ですよね。
 しかも、ちびっこたちとはえらい年齢差(53年~60年)ですから、いつ死んでもいいように「思い出づくり」なんでしょうね。

 そんなわけで、今年も「行動」する僕なんでしょうが、飽きずに堪えてお付き合いくださいませ。

写真

 ジャスト10年前の2007年2月、ドイツで開催された国際福祉機器展で、アルジョハントレー社の移乗機に試乗しているところです。

 僕が特養に勤め始めた30年ほど前から移乗機器はありましたが、ヨーロッパは福祉機器先進国で、日本のクルマのようにどんどん進化していますものね。

 僕は介護保険制度化にあっても福祉用具は別枠とし、自宅で導入したものが、そのまま特養や特定施設・グループホームに入居しても継続して使えるようにするべきだと主張していますが、福祉用具という言い方がそもそも違っていて、これらはすべて「自助具」ですよね。

 そう、メガネのように国民生活に染み込ませ、自助具を進化させることで「他人の手を借りなくて済む」ことを目指すべきであり、そうなったとき、メガネを自助具だと思っている人はいないのと同じように、移乗機も「自助具」として「あることがふつう」になり、「人力のほうが手間はかからない」という理由で使おうとしない日本の介護現場・介護職員も変わっていけるんでしょうね。

 結局、日本の介護って「してあげる」だから「手間がかからないように」になるってことで、「自分でできるように」が染み込んでいかない象徴の福祉用具が「移乗機」のように思いますが、いかがでしょうか。

 それもこれも「加算」の対象になれば一気に進むことは間違いないでしょうがね。おかしな社会です。

 ちなみにこの国際福祉機器展で一番感心したのは、僕の前に立っている営業マンの押しの強さ。日本から来ていることはわかっているのに押しまくりでしたものね。見習ったほうがよいのかどうか…。ハハハ