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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

逞美


 誰にとっても「自分が輝けるところ」って、どこかにあるんやろね。何処に行っても輝く人っていうのも、もちろんいるんやろね。

 ホテルや保養所でベッド売りをしていた20歳代の若者が介護業界に入ってきて、訪問介護の一員として従事。
 明るくハキハキ、何事も愉しめる人柄、一生懸命仕事に打ち込むひたむきさが買われて通所介護の責任者となる。
 何度かくじけるが這い上がり、数年の後に複合施設の施設長を任され、「次代を担う若者にチャレンジの機会を」と願う若者のボスの思いもあって、30歳代早々に系列法人特別養護老人ホームの施設長に任命され、誰が見ても順調満帆に見えた数年間であったはず。

 でも、本人が臨んで挑んだことなのに「輝きを失う状態」になり、そこから放して、さらに厳しいミッションを課した途端に、20歳代の頃の「ギンギラ感」が戻るから、人って面白い。

 やっぱり人って「環境に多大な影響を受けやすい生き物なんだな」ってつくづく思う。

 先日自宅近くを車で走っていたら、反対車線の歩道脇に「あれ!なんや」って光景が瞬間的に目に入ったので、ぐるっと回ってその場に戻ると、写真のように、車道の雨水を歩道下の側溝に流し込む水の入口から「秋」が顔を出していた。

 こいつらは、どこにいっても何があっても、僕から見ての話ではあるが、キラキラ輝いて存在感を示すが、その姿に「ステキ」の言葉しか出てこなかった。
 東北大震災後、被災した野ッパラ、人っこひとりいなくなったところで、こやつら植物たちは、花咲かせてたもんね。

 僕だって強がっていても環境に弱い一人の人間やけど、こいつをお手本に最期まで、もち場もち場で四の五の言わず、我を以って逞しく美しく生きていきたいなぁって思う。

 逞は「むてっぽうにやりとおすさま。かってにふるまう。あらかさまにだす」。
 美は「物事が良い感じ。味がよい」

 というような意味があるそうだが、「たくみ」に「たくみな専門職」として尽力し又、この二文字を備えた「たくみな生き方」をしていきたいものだ。

追伸

 今朝、福島県を震源地とする震度5ほどの地震が起こり津波警報も出されました。
 福島の仲間からは「久しぶりに大きく長く揺れて怖かったです」と一報が寄せられましたが、熊本の仲間も「数か月ぶりの揺れに恐れおののいた」と言っていました。
 恐怖へのトラウマ(記憶)なのでしょうが、大きな被害の出ていない地域こそ「恐怖」を「備え」にしていかなければ、もったいない限りです。
 個人宅で事業所で、誰に言われずとも備えましょうね。

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