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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

最高裁判例に思う


 JR事故の最高裁判決について、誰に聞かれても耳を閉じ・口を閉じてきましたが、「この判決に異議を投げかけている方と対談してみませんか」とのお声かけをいただき、「しがない介護職の僕でいいんかいな」と僕への人選に疑問をもちながらも行ってきました。

 対談してくださる方は東大の方。
 東大医学部在学中に司法試験に受かるという、僕には“ちんぷんかんぷん”な経歴の方で、医師であり法学者。

 中身は、9月10日発売予定の『中央公論』という雑誌の特集記事を読んでもらいたいのですが、生意気にも、対談させていただいた方に受けた感触を言わせていただければ「同じ肌触り」を感じた方でした。ぜひ、読んでみてください。

 とかく僕ら介護職って「世間」とかけ離れたところで仕事をしがちですが、僕らほど「世間の動向」に影響を受けやすい仕事はないはず。

 きっと世間に目をやろうとしないのは、人里離れた処へ建物をつくって、そこに24時間365日、要介護状態にある人たちを閉じ込めて隔離生活を強いる「介護」をしてきたからでしょうね。

 今回の最高裁の判例だって、そういう人たちから見れば「それがどうしたの」って思えるでしょうからね。

 でも、認知症になっても人として、地域社会の一員として、誰もが当たり前のようにしている『ふつうの暮らしの姿』を目指している人たちにとっては、「世間」も「世間様」も認知症という状態にある人たちの環境なので、気にしないわけにはいきません。

 福祉とは「人々が幸福に暮らす生活環境」だとしたら、それを整えるのが福祉の専門職。というか僕ら自身が「自分をおく環境」を常に意識して整えながら暮らしていますからね。

 本当はもっと突っ込んで言いたかったこともありますが、小心者で緊張症の僕で、しかも言葉として紙面に残ることが頭をよぎり、言えなかったことが心残りです。

 このブログを読んでくださった方、発売される雑誌を読んでくださった方にお願いです。
 こういう社会的なテーマで「専門知識に裏打ちされた研修」をぜひ取り組んでもらいたいです。

 目の前にいる婆さん支援をどうするか。
 もちろんこれも介護職として大事ですが、「婆さんを取り巻くマクロの環境」に目を向けられる介護職が増殖していけば、認知症いう状態にある方々の暮らしの姿は、もっともっと変わっていけるはずです。

 いや変えていくためには、「社会的障壁を取り壊さねば」と思えるはずであり、思うだけでなく壊しにかかるはずです。
 それが「バリア・フリー」の神髄であり「バリア・フリー・ワールド」への道のはずなのですが、それを「段差がない建物」程度にしか考えていなかったとしたら、それが「世間からかけ離れた仕事でしかない証」なんでしょうね。

 ご一考を。

追伸

 同じ内容を二度も記事にするなんて(8月29日と8日)、僕も耄碌したな!ハハハ
 というのも8日にカッパーズ紹介のブログをアップしていたことをすっかり忘れていましたね。
 今さらながら読み返しましたが「読みたくないほど同じ内容」ではないと思うので、勘弁してください。

 また、先週は通信機器の不良によりアップできませんでした。申し訳ないです。その分、今週二本アップさせていただきます。

写真

 山形県・秋田県沖合日本海海上から見た鳥海山の朝ですが、暑いとは言っても、わが列島、いつの間にか「秋」ですなァ。

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ニンニン