和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
ともに冠婚葬祭
グループホームだけでなく小規模多機能型居宅介護で看取りもやらせてもらっているが、葬儀となると機会は減る。
あるグループホームで看取り後に亡くなった方がいた。僕はリーダーさんに「ご家族たちも交えて宴会を」と助言すると、リーダーはすぐにその意図を汲んで通夜の宴会を企てた。
和室の事務所に祭壇をおかれ、祭壇の前にはご馳走がならび、ご馳走を囲むように利用者・職員・そして利用者たちのご家族たちが居並ぶ。
棺の中に眠る利用者に別れを告げるときは涙・涙…。
宴の前にこれは「お別れの会」であることを告げ、しんみりとスタート。通夜であれば、それも普通のことだ。
ところがそこは婆さん。時間の経過と「ともに」、いったい何のためにご馳走が並べられ、人が集い、酒を飲み交わしているのかがわからなくなる。これも婆さんなら普通のこと。
そのため、しんみりからスタートした宴もにぎやかな宴会へと変貌していく。
「ところで今日は何なの」
「今日はね、Aさんのお通夜ですよ」
「Aさんって聞いたことあるわね」
「Aさんて、ほら…のひと。よくご存知じゃないですか」
「え、あの方なの」
改めて棺に眠るAさんにご対面していただくと、改めて涙・涙。
またまた時間とともに、そのことを忘れ
「ところで今日は何なの」
となるから婆さんはステキ。