和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
おざなりにしてはならぬ「基本のキ」
僕の「介護」に対するイメージは、「できることは自分でできるように」「閉じこめない」「地域社会をステージに生きる」といったことが先行しがちだが、僕の基本は「清潔・衛生」である。
僕自身、個人的にはいたって不衛生な性質で、学生時代の旅では、夏でも二週間入浴しないで悪臭を放っていても平気なほどだったし、どんなに部屋が散らかっていても埃まみれでも平気で過ごせる。
ただし気になりだしたらとことん片づけてきれいにしないとおさまらない性格でもあり、それがいつ起こるか神のみぞ知るところ。
ただ仕事となると別である。
尿臭、口臭、体臭、衣服臭、居室臭、フロアやトイレ臭など、とても気になるし、異臭のない状態、環境を整えるために力を尽くす。
換気扇、洗濯機、冷蔵庫、排水溝、エアコンなど日常使用する道具の不衛生状態やフロアの食べこぼしは、翌日に持ち越さないようにするために力を尽くす。
男性女性に限らず、髭が伸びていないか爪が伸びていないか常に気にかけ、食べた後の口周りや衣類の汚れなどは拭くなり着替えるなり、その場で解決するように力を尽くす。
書ききれないが、こういった「整容」「清潔」「衛生」といったようなことは僕の中では「介護職としての仕事の基本のキ」で、そのことをおざなりにしては何をやっても言っても、自分がむなしくなる。
時には、婆さんと話をしていて、朝食後の後片付けや洗濯物干しを後回しにしてでも外出したこともあったが、それは日常ではなく、あくまでも非日常的出来事で、それでも婆さんの身なりだけは整えて出かけていた。
介護の現場は婆さん10名に2人の職員ほどしか配置できない状況にあるが、まずは基本的なことを整えたうえで「上積み」(買い物などの外出、調理や掃除など家事、レジャーなど)を図っていく。これが生活支援の基本だと心得ている。
だから婆さんの寝静まった22時頃から24時頃までが「衛生に関する仕事の勝負時」で、冬でも汗だくになるし、良い運動でもあった。
自分のところでも、この「基本のキ」が抜け落ちてご家族から苦言をいただくことがあるが、改めて「基本のキ」について職員たちと一緒に見直ししてみたい。
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先日山口市で行われたグループホームの仲間たちの研修会第二部でやっていただいたミュージックライブです。
研修会場がログハウスのスタジオ(ライブハウス)で、80名からの仲間たちが集まってくれました。
グループホーム関係者3名と地元では有名なコーヒー豆屋代表者の伴奏で、古き良きフォークソングを数曲歌わせていただきました。
北海道ではエレキサウンドでロック、西日本ではアコースティックギターでフォーク。いやぁ、日本は広いね。
こんなステキな時間がもてるのは何よりも「元気で生きていればこそ」です。間もなく2015年も幕を閉じますが、皆さんくれぐれもお身体に気を付けてくださいね。
かく言う自分も、年末に我が身を精査しまぁーす。