和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
-
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
スッキリ
人には他人には理解してもらえない心模様がついてまわる。
しかも、自分でさえ理解しきれているかと言えばそうとは言えず、自分自身に「なんで俺はこうなんだろう」と自問し、いくら出口を探しても行き当たれないときがある。
想像するに大昔から、事は違えど同じで、延々と続いている「人につきもの」なことで、それが人の脳なのだろう。
この仕事に就いてからのことだが、電車の中でこんなことがあった。
扉の近くに立っていた男子が、「ウーッ」という声を発しながら、右手の親指と左手の人差し指、右手の人差指と左手の親指を合わせて、それを交互にクルクル動かしていた。
なんでそんなことを思ったのかはいまだに自分でもわからないが、「この人と友達になりたい」と思って席から立ち上がり、その人の横に立って、僕も同じようにクルクル動かした。
そうしたらその人は、自分の「クルクルする手」は止めて、僕の顔をじーっと見つめてきた。
僕はその次の一手を考えていなかったのでどうしていいかわからず、満面の笑顔で応えさせてもらったのだが、次の瞬間には顔を逸らされ、再び声を上げながら「クルクル」を始めたのだ。
彼は僕に対してどう思ったのか。
そらからずっとそれが引っ掛かっていたのだが、夕べ札幌で出会えた“キヨシさん”に投げかけると、「彼もきっと表現としては顔を背けることしかできなかったけど嬉しかったはずだよ」と言ってもらえ、何年もつかえてきたものが、スーッと消えた。
彼のこともキヨシさんのこともいいかげんなことは書けないので、わかったような・わからなかったような話しだが、心の中に留まっていることの紐解きは、いつ解けるかわからないってことだが、解けるかもしれないから話してみようと思える人に出会えるかどうかでもある。
とってもスッキリした夜だった。
キヨシさん、ありがとう!!!
追伸
ブログでご紹介したうちの職員が出したマンガ本(宝島社)を皆さんにご紹介させていただいたら、たくさんの方々から「注文しました」とのお応えをいただきました。
感想文をいただいていますので、ご紹介しますね。
早速アマゾンで本を買いました。
昔の自分…初心に戻れました。忙しすぎて、大切な心
私の今の立場、複雑ですが頑張ろう!!!って思えました。
これまたスッキリ…でした。