和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
北竜町
100haの耕作地に150万本のひまわりの花が咲き乱れる北海道北竜町。
人口2000人の町だが、行かせてもらって感じた印象は「過疎感がない」ってこと。
風前の灯の状況のはずなのに明るさを感じたのは、町のシンボルが「ひまわり」だという理由ではなく、住民も行政マンも北竜町が根っから好きだからではないかと思った。
現職町長が、若くして認知症になって辞任するという事態を受けた北竜町。その後、東京から移住された認知症の方の家族をサポートするため「空知ひまわり」という家族の会を立ち上げた。
その後の活動は、「若年性認知症家族会空知ひまわり」のブログを見ていただくのがよいが、人口2000人に対して100名の実質的なサポーターがいるというから驚き。互いに助け合って生き合うことを実践する先駆的な住民たちである。
先般行われた「認知症」の取り組みでも、200名からの人が集まっていたが、他市等から来られた方を差っ引いたとしても「住民の10人に1人が参加」はとてつもない参加率である。
手押し車で取り組みに参加する住民
人口が少ないがゆえに成せることかもしれない。
そう考えると、国はこれまで「平成の大合併」など、単位を大きくして効率化を図ろうとしてきたが、小さな単位にしたほうが住民力を引き上げる効率性は上がり、愛着も持ちやすく、活気ある街づくりができるのではないかと改めて思えた。
短い滞在ではあったが、ひとつ「惜しさ」を感じたのは特別養護老人ホーム。
形態は「相も変わらず」で、これだけの「町力」を活かせば、名称は特別養護老人ホームでも、まったく違う「住まい(住居+暮らし)」を提供できるのではないか。
しかも生活に欠かせない「就労=稼ぐ」支援まで合わせて取り組めることだろう。
僕はこの町の住民や行政マンに、そんなこんなも突破していくだろうパワーを感じた。
追伸
これは旭川市東鷹巣、7種類のお米で描いた「田んぼのアート」。色は違うが、すべて本物の米だけで描いている。
農家の若者たちが取り組んでいるそうだが、まずは、7種類の色の違うコメがあることに驚いたし、コメ作が先行き不透明な中、こういうことに取り組む人たちがいることに感心した。
僕も各地の仲間と、ライブハウスで歌や酒を交えた研修会や目立つ車を使って「路端介護相談」を試みようとしているが、同じようなものと言えば怒られるだろうが、さまざまに試みようとすることに同じ匂いを感じた。
「そんなことしたって何になる」
そんなことを言うだけで何ら試みようともしない人たちにはわからないかもしれないが。