和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
無人事業
最近「無人」が増えてきていますね。
先日も、高速道路のコンビニに入ったら店員さんがいなくて自動レジ。その前はホテルにフロントマンが配置されていなくて自動チェックイン機。これが広がっていると報道もされていました。
僕が若い頃(50年前ごろ)から道端に「無人販売」の看板が出て野菜や果物を売っていましたが、数年前、街なかで餃子屋さんが無人店舗での販売を始め話題になりよく店舗を見るようになりました。又、以前から東京「ゆりかもめ」のように専用軌道を走る鉄道が無人化されていましたが、今は一般道を走るクルマが無人になる話題まで持ち上がっています。
現実の人手不足だけでなく、高齢化、人口減を見通せば「無人化」はますます増えていくことでしょう。
片や介護業界。
人が人を支援する他に道がないように思えますから「無人化」ではなく、より人が人に関わる時間を生み出す「デジタル化促進どまり」かなと思いますが、どうでしょうかね。もちろん「鉄腕アトム級のロボット」が誕生すれば別でしょうが。
ただ、介護事業においては介護保険制度スタート前から「無人化」は部分的に起こっています。
この「介護事業における無人=支援策なしの時間帯がある」ことを知らない市民の多くは「入居系の介護施設は24時間の支援体制がある」と思い込まれていますが、実は介護施設って無人化の先駆事業で、2フロア:夜勤1名で制度上問題ない介護事業もありますので、そもそも「無人ありき」で制度化されているんです。
最も手厚い人員配置基準になっている認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は「共同生活住居ごとに介護職員は1日を通して配置が義務付け」となっていますが、それでも夜勤者一人の 時間帯において職員の休憩時間中は「無人」です。
ここ最近、グループホームも共同生活住居(フロア)ごとに配置する基準を緩めてはどうかという動きがあり、これを補うために「見守りカメラ等」を設置するという話が出ていますが、見守りカメラを設置して必要な支援に駆け付けることができても、職員が一人しか居ない中では「同時に起こる二つの事象」には対応できませんからね。
かといって、これを介護事業すべてにおいて解決するには人手とお金がかかり、無茶すればお金の捻出はできたとしても、人口減の中、あらゆる業界で人手を欲しがっている現状で介護事業における人手確保は難しいでしょうから「無人先駆事業」として走り続けるしかないでしょう。
僕らにできることは、介護事業の利用者&ご家族に、こうした「無人状況があること」など、介護事業の現状をきちんと伝えること、それを承知の上で利用していただくことではないでしょうか。僕も、これまで通り、あちこちで伝えていきます。
写真
全国各地を訪ねているとイロイロなモノに出会いますが、この自販機はよくわかんない物を販売していました。何なんでしょうかね。僕にしては珍しく手に取る気にもなりませんでしたが……。