和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
DMAT ディーマット
皆さんはディーマットってご存知ですか。僕はまったく知りませんでした。
毎年ブログで書かせてもらっています「災害支援法人ネットワーク:通称おせっかいネット」の学習交流会in奈良で講演いただいたのが奈良市立病院の医師で、DMATの中心的なメンバーでした。
DMATというのは、災害急性期に活動できる機動性をもったトレーニングを受けた医療チームのことで、そのチームが今、全国に1300あるそうです。
そもそもは、阪神・淡路大震災の時に初期医療体制の遅れが考えられ、その時に平時の救急医療レベルの医療が提供されていれば、救命できたと考えられる「避けられた災害死」が500名存在した可能性があったということから、厚生労働省が平成17年4月、「災害医療派遣チーム日本DMT」を発足させたそうです。
東北大震災の時に出動した体験を話してくれましたが、3月11日地震が発生、即日待機要請が出され、各院内にDMATは県本部を設置、12日早朝に伊丹空港から自衛隊機で出動。行き先は着くまで知らされないそうですが、この時、このチームは花巻空港だったそうです。
DMATは「生命の最後の砦」ともいうべきものなので、自体が危険なことをしてはいけないチーム。だから最も安全な空港で活動するそうですが、自衛隊の飛行機内に救急医療体制をとり、各地から運ばれてくる患者の救命にあたるそうです。
DMAT…知らない間にこんな重要な活動チームが構築されていたことに驚きました。
なおチームの構成は、医師、看護師、業務調整員で、特別な研修を受けなくてはなれませんが、最も重要なのは業務調整員で、これは専門資格がなくてもなれるそうです。ただし院内の関係者に限られますがね。
さて今回の学習交流会では、もうひとつ「エコストーブ」が紹介されました。広島県庄原市の「倶楽部里山木族」の方々が、アメリカで開発されたロケットストーブにヒントを得て、携行できるクッキングストーブ開発に挑戦され、見事成功しました。
自動車のオイルを入れたりするペール缶を使うので廃品利用でき、市販の煙突を使うので調達しやすく、特別な機械や道具がなくても、素人でも3時間もあれば組み立てられるのがミソで、これは本当に実効性が高いものだと思いました。
北海道から九州まで16法人の仲間でネットを組み活動しているおせっかいネットですが、一番の目的は「顔の見える関係づくり」と「それに裏打ちされた互助の関係づくり」です。
奈良では名物「若草山の山焼き」を鑑賞し、夜の名物「今ノ葉狂四朗さんのお店」でどんちゃん騒ぎの大交流会でした。
これも「不幸の中の幸い」で、あの忌まわしい大地震によって結ばれた仲間たちですが、このまま学習と交流ばかりで「本番」のない徒労に過ぎることを願うばかりです。
皆さんもムダに備えましょうね。
写真
1 テントが張ってあるこの広い広場は、仲間たちが認知症という状態にある人の就労支援と伝統的な梅の復活、超高齢地域の活性化に向けて整備している梅林です。こうした梅林地が三面。壮大な計画です。ちなみに写真は、仲間たちがエコストーブの作り方を伝授してくれている場面です。
今回、会費でクイック式テントを買いました。右端にちょこっと見えるのは、これまた会費で買って備えているカセットボンベ式発電機です。
2 おせっかいネット学習会の模様。ご講演いただいているのは、市立奈良病院循環器内科「奈良県DMAT副コーディネーター守川医師です。
3 エコストーブ。ペール缶を加工して二段重ね、市販の煙突を差し込み、断熱材で埋め固めるだけですが、燃焼効率が高く、煙を発生させず燃えカスが残らないのが特徴です。これで20分あれば2~6合のご飯を炊けるそうです。ただし、かなり考案されて各所の寸法などが決められているので、やみくもに作ってもうまくいかないと思いますがね。
4 この店は仲間から聞いていて、かねてから行きたかったんです。清志郎さんの精神を受け継いで、このマスターも被災地支援に取り組まれています。もちろん忌野清志郎ばりのメイク・ファッションでギンギンでした。