和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
災害時支援は生活支援
先日、ちびっ子の関係で浜松市のある会場に行ったときのことですが、ちびっこを会場の入り口近くで降ろし、僕だけで車を駐車場へ回した直後、土砂降りの雨となり、瞬く間もなく駐車場が池へと化けていきました(写真:降り始めた直後。茶色くなっているのが溜まっていく雨水です)。
報道によると都内も局所的に激しい雷雨に見舞われたようですが「あっという間に水位が高くなり車が動けなくなった」というのは大袈裟な話ではなく、日本中で起こっている災害に当てはまる言葉なんでしょうね。
僕が7月29日に宮古島を去ったあと、台風6号が沖縄地方を襲い、これまで見聞きしたことがない動きで、この地域から一向に立ち去る気配なく滞在して雨風を浴びせ続けていて、その被害状況が報道されていますが、東京の不安定な天候による雷雨も、僕が襲われたスコールも台風の影響のようですから、台風6号の強力さが想像できます。
その沖縄で通所介護事業を行っている僕の仲間は、四日間も休業を余儀なくされ、経営的にかなりピンチに追い込まれています。
しかも、そんな状況下であるにもかかわらず、一人暮らしの利用者、認知症の状態にある利用者、高齢者世帯など、「デイサービスがどうしても必要だから通所していた方」で「通所が休みになると困ってしまう方々」のお宅を訪問して回るなど「できる支援」を展開しているようです。
新型コロナの時もそうでしたが、このような台風は被害があろうがなかろうが事業者にとっては「介護計画に基づいて事業を提供できない災害」であり、利用者にとっては「受給できない災害」です。
また、その災害下での事業者・事業所・従事者の「できること支援」は「災害支援」であり、災害支援「生活支援=命を守る」ために不可欠で、災害時において形は違えども生活支援を行っている事業所には、そもそも不可欠な支援計画があるわけですから特例的に扱って対価を支給すべきでしょう。
具体的に、どのような状況下で、どのような方に、どのような支援を行ったかの情報をもらって、僕自身は社内に水平展開し「備えるべきこと」に活かそうと考えていますが、ブログでも可能限りお伝えしたいと思います。
追伸
とにかく、皆さんもお気をつけください。
今までの経験で考えていると大きな過ちを犯しかねない「地球の変わりよう」を感じている、ここ数年の僕です。
数年前の話ですが、船で太平洋に釣りに出たときのことです。沖合に出てからなんだか様子が変なことに気づくと、船内機関室に海水がどんどん入ってきていて、船が沈み出していたんです。
その時一緒に乗船したのは四名ですが、僕ともう一名は「沈んだ後のことを考えて持ち込んだ弁当を先に食っておこう」で喰い始め、あとの二人は「食料は残しておきたい」と対応が真っ二つに分かれました。
同じ状況下でもこのように行動が分かれるもんでしょうが、究極、それが生死を決めかねないですからね。
「どうする家康」「英雄たちの選択」
といったテレビ番組がありますが、「どうする和田君」「和田君の選択」と置き換えて見てしまいます。
随分前の話ですが、京都鴨川上流域で川遊びの途中、雲の様子を見て早々に引き上げたのですが、その直後、京都市内はマンホールが浮くほどの豪雨で、被災を免れたことがあります。
子どもの頃の遊び場が川で「黒い雲がちらつき出すと川から離れるんだぞ」と大人から教わり、いつも空を見上げながら遊ぶ癖が功を奏しました。
ちなみに本文に書いた駐車場が池と化したそのとき、それでもお構いなしに、頭から足元までびしょ濡れになって会場に急ぐ人がほとんどでしたが、僕は車を移動して状況が見いだせるまで水が溜まらない場所で待機し、状況が見いだせたころ駐車場に戻って、残されたスペースの中で最も水が溜まっていない場(その中で高いところ=水が引きやすい場)を見出して駐車しました。
あなたなら、どうしますか?