和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
シンガポール行記2
シンガポールも日本と同じで、結婚しない方が増えているようです。
その理由は「子育てにお金がかかりすぎる」とのことですが「住宅費が高く、学校だけでは足りないので塾に通わせないといけないし、そのうえ習い事も必要でたくさんお金がかかるし、加えて近年は物価高で結婚なんてとうていできない」と現地の人は嘆いていました。
聞くと「勉強できる人」「勉強できない人」で進路がくっきり分けられるため教育にお金をかけるようで、その負担が大きいようです。進路は、将来の「稼ぎ」に直結するようですからね。
ちなみに、庶民的なお店に入ってビール中ジョッキ2杯と一番安いピザ1枚飲食して5600円ほどでした。日本の倍ぐらいでしょうか。煙草はひと箱1400円ほどでしたが、タクシーは安いと思いました。
賃金について聞くと「ふつうのOLで20~30万円」と言っていましたが、税金は日本と比べてかなりシンプルな仕組みで安い(低い)ようですね。
シンガポールは土地を私有することはできず、使用権を「99年払い」で買うそうですが「じゃあ99年経ったらどうなるの?」って聞くと「まだ建国50年だから誰もわからない」と笑っていました。面白いね。
一番驚いたのは、車を持つためには「権利」を購入しなくてはならず、それに1000万円ほどかかったうえに車両代がかかるってことで「買うは住宅か自動車か」という選択だそうです。
それにしては車がたくさん走っているので「みんなお金持ちか」って聞くと「10年払いですから」と。
いずれの話も通訳から聞いたことで調べもしないで書いていますから信ぴょう性はわかりませんが、僕のような車好きには耐えられない国家方式です。
この国も日本と同じで人口減少の道を歩むんでしょうが、僕が思うシンガポールの強みは「多民族多文化多宗教共生平和国家を現実的に成していること」で、日本のように移民受入を真っすぐ言えない国とは違って何とかするんでしょう。
そういや八日間の滞在中にパトカーなどのサイレン音が一切聞こえなかったので聞くと「あまり鳴らないです」って言っていましたから、犯罪も少なく共生・共存社会に向けた方策がうまくいっているのかもしれないです。世界で最も安全な国といわれていますからね。
ただ、認知症に対する考え方は「一般社会と切り離して暮らさせる」という概念だったようで、日本が挑んでいる「地域社会の中で共に暮らす」「ふつうの暮らしが続けられるように」とは違っているようですが、シンガポールで超人気の要人(大臣?)と話をしたとき、その方は「地域社会の中で」と話されていました。
僕は、これだけ多様な民族・文化が共存できている国ですから「認知症」への国家的な取り組みを進めていけば、世界に発信できるような「国」になれるんじゃないかと思いました。都市国家だからやりやすいでしょうしね。
次回は「注文をまちがえる料理店シンガポール版」についてご報告します。
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ナーシングホームに置いてあった移動可能なリクライニング式の椅子ですが、めちゃ気に入りました。
カラフルさもお気に入りの理由ですが、アメリカ車のようにシートが分厚く固めの座り心地で、とても良いと思いました。
値段は40万円~50万円ほどだそうですが、どうも運搬費が高いようなので数を買えば単価は下がるかもですね。種類もいろいろあるようですしオーダーも可能だそうです。
生活フロアで高齢者たちはこんな椅子に座らせてもらっているのかと思いきや、これは美容室の待合用の椅子だそうですから、実に勿体ない限りです。