和田行男の婆さんとともに
「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。
- プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)
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高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。
ベトナム行記2
ベトナムに行って感じるのは、子どもは「両親の子」ではなく「一家の子」と位置づけられているのではないかということです。
というのも、技能実習生の中には結婚して子どもがいる方が少なくありません。
「日本に来るのに子どもさんはどうされるんですか」
と聞くと、ほぼ「家族がいるので大丈夫」と言われます。
ある方も幼児二人残して来日すると言うので、聞くと「旦那さんのご両親がいるので大丈夫」とおっしゃっていましたが、ご両親はお元気ながら70歳代(お父様)と80歳代(お母様)ですからね。
日本人の感覚からすれば「年老いた義理の両親と幼子を残して三年間も」しかも「嫁が旦那をほっといて」となりかねませんが、親兄弟親戚含めて「子どもは一家の子」「一家で育てる」感覚でないと、そうはいかないでしょうからね。
ある広い敷地に住む方は、両親と六人の子ども世帯が同一敷地内に家を構えていましたし、それは珍しいことではないようですから「一家」「家族」の単位をとても大事にしていることがうかがい知れます。
僕は学生の頃から「子どもは社会の子」という感覚で世の中を測ってきていましたから違和感はないのですが、「子どもたちはどうなんだろう」と思い伺ってみると「生まれたときからずっとおじいちゃん・おばあちゃんと一緒にいるし、兄弟の子もいつも一緒ですから」と微笑まれました。
しかも、「離れていてもネットで毎日会えますから寂しくないですよ」と言われました。
実際、日本に来た実習生たちの様子を聞くと、友だちの親とでさえ毎日のようにやりとりしているようですからね。いろいろ納得です。
残される子どもたちに聞いたわけじゃないから何とも言えませんが、ネットが根づいているベトナムですから、そうなんでしょうね、きっと。
前回に続いて食のことにも触れたいと思います。
表題の写真はベトナムの国民食として愛食されているバイン・ミー(ベトナムのサンドイッチで柔らかめのフランスパンに野菜、豚肉などいろいろな食材を挟んでいます)を食らっている湘南介護人材協同組合の川井さんと僕です。
ニャチャンというリゾート地で「1日1000個のバイン・ミーを売るお店」と紹介されて連れて行ってもらいました。
もともとは上記写真のように路上で売っていたそうですが「味良し」で大人気となり、下記写真のように店舗を構えたそうです。
大きなゴキブリが飛び交う半ば露店のようなお店でしたが、ここのバイン・ミーは、川井さんの目が・炎上する僕の髪が現わしているように、めちゃくちゃメッチャ美味しかったです。
この日も夜遅い時間にもかかわらずお客さんがひっきりなしに訪れてきていました。
ただ、ベトナムの文化とも言えるバイン・ミーですが、ものの本によるとフランス植民地時代の名残だそうですから、やや複雑ではありますがね。
「何でここのお店はこんなに流行っているのか、他と何が違うのか」と聞くと、一番はやっぱり「味」だそうで、しかも他所より3割ほど安いようですから、まさに「うまくて安い!」、鬼に金棒!なんでしょうね。
ちなみに1日1000個も売れば1日でベトナムの一般的労働者の5か月分以上売り上げる計算になりますから、お店は露店でもご自宅は御殿でしょうね。