辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方
一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。
- プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)
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1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66
給与分の働き
以下は、研修における1人の受講生との会話です。
- 受講生 辻川社長。自分は今、総支給20万円の給料しかもらっていないから、自分の業務以外のことを求められても割に合わないんですよ。
- 辻川 割に合わない? 損するとはどういうことですか?
- 受講生 この安い給与で、そこまで業務をして会社に貢献する必要があるのかなって感じてしまうんです。自分が損します。
- 辻川 なるほど。どれくらいの給与をもらえば「やってみよう」って思えますか。言い方を変えると、評価されている、認めていると感じますか。
- 受講生 今より5万円ぐらいアップしてくれたらいいかな。
- 辻川 今よりも年間で60万円ぐらい多くもらえればということですね。
- 受講生 そうですね。
- 辻川 仮に、来月から給与が希望以上の10万円昇給したとしましょう。
- 受講生 10万円ですか? ありえないです。
- 辻川 ありえないと思いますが、仮の話です。あなたは会社にどのように貢献しますか。
- 受講生 うーん。何かプレッシャーを感じますね。
- 辻川 そうですよね。期待が重荷に感じる時もありますよね。
- 受講生 10万円も昇給しなくていいかな。
- 辻川 10万円の昇給までは望んでいないんですね。
- 受講生 多くもらえるのは嬉しいけれど…。
- 辻川 何が引っかかりますか?
- 受講生 やっぱり求められることが多いと責任を感じます。
- 辻川 昇給するのは責任も伴うと思っているんですね。
- 受講生 そうですね。
- 辻川 5万円の昇給だと、その責任はどうですか?
- 受講生 同じですね。
- 辻川 自分が自信をもって受け取ることのできる給与はどのくらいですか。
- 受講生 今がベストかなぁ。
- 辻川 どうしてそう感じるのでしょうか。
- 受講生 責任をもつことを避けているからでしょうか。
話はまだ続きました。 最終的には、昇給には何が必要か、そのために自分が行うのは何かを考えてみると言っていました。 確かに、自分の満足する給与が得られていないという不満はがあると、業務に対する姿勢に影響が出ることがあるかもしれません。
「この給与でやっていられるか」「この給与でここまでがんばっても損をする」「この給与ではがんばることができない」
こういう気持ちになるのは理解できます。プロ野球の契約更改が盛んな時期、球団と選手の交渉は見て感心する人は多いと思います。 介護の仕事で昇給するための評価は、プロ野球ほど細かく詳細に分けられるものではありません。 野球は数字に残せない、表れないことが多いです。加えて、年俸の一部は一般の仕事の給与とは桁が違います。
桁の異なる年俸で考えると実感するのは難しいと思いますが、自分の立場に置き換えて考えると参考になるでしょう。
球団評価に満足いかない年俸査定の選手もいると思います。 その選手が「自分は年俸○○万円だから、打率、試合数、打点数はこれぐらいでいいだろう」と、年俸以上の働きをしないと考えてプレーしたら、成績はどうなるでしょうか。自分で決めた成績を残せたとしても、翌年の年俸が上がるのでしょうか。よくて現状維持、減俸もあるかもしれません。成績を上げて、周囲の期待に応えていこうと考えるから、年俸アップにつながるのです。
現在の自分の給与が低いから、「がんばらない」「やらない」のは自分のためになるのでしょうか? いいえ。自分が損をしているでしょう。自分が不満に感じている給与だからと、不満に感じている給与分しか行わないと決めたら、いつしか本当に不満な給与分しか仕事ができない人になってしまいませんか。できるのにしないのは、本当に必要な時にできなくなってしまいます。