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辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方

辻川 泰史 (つじかわ やすし)

一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。

プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)

1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66

情報化社会は終わっている

 「情報化社会は終わっている」。
 そう言うと、インターネットが普及し、小学生でもスマホを持ち、情報を得ることができる時代だから情報化社会でしょう! と思われる人も多くいると思います。
 確かに情報化社会ではありますが、情報には意味がなくなってきています。マーケティング3.0という考え方では、現代は知識創造社会といわれています。知識創造社会というのは、業界、地域、年齢層の分野を超えて、既にある情報と情報、経験と経験を組み合わせて、新しいものを築いていくことであると思います。

 10年前に私自身はコンサルティングの仕事を始めました。その当時は、海外のマーケティング実例や、高額のセミナーなどに行き、最先端の知識や実例を得て、それをアレンジし、クライアントに提供することで顧客満足を得ることができていました。
 しかし、情報はあって当然の時代。例えば、私の息子は中学1年生ですが、彼の所有するiPadで「マーケティング」と検索すれば10年前には多くの時間と費用をかけないと得られなかった知識が数秒で多量に、無料で手に入ります。
 その情報をどのように活用してくかが、今の時代に求められています。それが、知識創造社会だと思います。

 しかし、マーケティング3.0を提唱したコトラー博士によると、2016年からはマーケティング4.0という、自己実現の時代といわれています。
 「会社のために! 社会のために!」という概念は大事ですが、それよりも個人の楽しさ、生きがいを主観に置き、そういったサービスを提供する会社や、商品が人々の共感をよび、支持されるということです。確かに今、注目を浴びているライザップやレッドブルなどは、個人の自己実現や、なりたい自分を体現しているコンセプトを売りに人気を得ています。

 今の介護業界はコトラー博士の提唱するマーケティング3.0に照らし合わせるとマーケティング2.0の顧客中心の時代となっています。確かに利用者第一は大事ですが、労働人口減少、なおかつ、介護職員の減少に伴い、自己実現という言葉をどう捉えるか? が起業方針として重要になると思います。
 「スタッフ第一! 利用者第一!」。
 想いだけでは経営はできない時代だと思います。その思いは多様化しており、それを繋ぎとめるのではなく、共有し応援していくことが求められているのではないでしょうか。