辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方
一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。
- プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)
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1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66
決断力
先週末は沖縄でセミナーでした。90名の方のご参加をいただきました。受講生の方から社内会議についての相談があり、その際に、以下の書籍に書かれている内容をお伝えしました。
黒田如水 童門冬二著 小学館
明治維新まで続く黒田家は「異見会が政治を誤らせなった」と言われています。
異見会=会議(ボトムアップ式)
異見会は、確かに黒田家の政策を誤らせない装置ではあったが、あまり異見会の存在が強くなると、トップはどうしても決断力を失う。すべて合議に委ねてしまう。それを心配した如水は死の直前に、(跡取りの)長政に自分が散々履き古した下駄を片方と草履を片方残した。「これが形見だ」と言った。
長政には、何のことだかわからなかった。しかし、死の直前に父が残してくれたものだから、おそらく深い意味があるのだろうと思い、腕を組み考え抜いた。
それを見て、死の道を歩き始めていた如水がニヤリと笑った。
「長政よ、お前はまた、この草履と下駄について何か思いを巡らせているのだろう?」
「さようでございます。日本一頭脳が鋭いと言われた父上が、いまわの際にくださったお品でございます。下駄が片方、草履が片方ではございますが、おそらく深い意味がございましょう。考え当てて、最後の親孝行をするつもりでございます」
「やめなさい」
「は?」
「それがおまえの悪い癖だ。異見会の悪しき影響を受けている。つまり、何の意味もないものに対しても、意味を求めようとする。異見会をそういう使い方をしてはならぬ。決断すべきは、黒田家においてはお前一人しかいない。決めるときは決めなさい。もし、決めかねるときは、その下駄と草履を出して、父が死ぬ間際に何を言ったか思い起こせ。この頃のお前は少し決断力が鈍くなっている」
「おそれいりました」
書籍名は忘れてしまいましたが、異見会を「腹立たずの会」というように紹介してあったことも記憶しています。この武士の時代でも、役職についていない武士の意見を吸い上げていこうという姿勢があったことに驚きでした。
ここでいう、長政は組織の長、社長、部長、等の何らかの部署の決定権のあるポジションと考えると理解しやすく感じます。私は社長として、会社で会議を行うときがあります。意見が出ない、自分の立場を保守するための意見ばかりで思いきった意見が出ないときも稀にあります。
意見が出やすくする工夫がないとき、配慮がないとき、自分一人が熱くなってしまっているときほど、意見は出ません。
もどかしい気持ちになります。決断するには勇気が要ります。そこには甘えは許されないのです。何故なら責任はすべて自分で被ることになるからです。しかし、私はそこに経営者としてのやりがいと価値があると感じます。いい方向にいったら協力してくれた皆のお陰、失敗したら自己責任。綺麗事のように聞こえますが、現実はそうなります。
意見に耳を傾けること=傾聴
その意見を取り入れていくかどうかの決断をすること=決断と行動
そういったスタンスは常にもっていたいと思います。忘れていけないことは、意見を言った人の気持ちをくむことも大切だということです。意見なのか? 愚痴なのか? 文句なのか? 想いなのか? 攻撃なのか? それをしっかり考えていくことが大事だと思います。
意見には、「ここが問題で、自分はこうすべきと感じる」という主張が伴うはずです。意見は必要ですが、愚痴は言ってはいけないと思います。愚痴、文句には発展性はありません。攻め合い! も責任の転嫁です! 責任の押し付け合いです!
しかし、攻められることも大事なときがあります。それをしっかり受け入れていかないと、「裸の王様」になってしまいます。会議を有意義にするためにも、「長は何が有っても自己が責任をもつ!」というスタンスをもっていくことが大事だと思います。
決断するには自信がないときもありますが、自分のビジョンに協力してもらうためには周りを安心させるための工夫が大事だと思います。
何でも皆で、という形態が良いときもあります。それで、いつも順調であれば、こんな良いことはありません。しかし、一歩誤ると仲良し倶楽部です。誰かがしっかり「決断」をするからこそ、組織にしまりができてくるものだと私は思います。