辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方
一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。
- プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)
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1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66
湧いてくる悩み
悩みのない人はいません! 当然ですね。
私自身は、悩みが比較的多いほうだと思います。おそらく、10年前の私、いや、1年前の私であれば、耐えられないような悩みもあると思います。悩みもバージョンアップしているように思います。
そういった自分は、悩みから逃げる、いや、克服するために、いろんなチャレンジを試みました。過度な飲酒。夜中に走り回る(ジョギング)。JR東日本の京都のCMを見て座禅にも行きたくなりました。そのときの話です。
朝5時から坐禅に行きました。当時、私は経営者として多くの悩みを抱えていました。(今のほうが多いかもしれませんが?)
坐禅は、目を閉じず半眼で斜め下を見て行うように教えていただきました。半眼で一点を見つめていると、いろいろな考えが浮かんできました。最初の5分ほどは、現在抱えている悩みが多く、頭の中をめぐります。
「気が紛れないじゃないか!」
私は坐禅をすれば気が紛れ、気分転換になると思ったのです。これじゃ、より深刻になってしまう。焦りました。そうすると、お坊さんから「ちょっとおいで!」と言われ、坐禅堂から出ました。
「集中できていないようですね。無理に集中しようとせずに、湧いてくる概念をそのままにし、味わってください。できれば、どれだけの概念が湧いてくるか数えてみてください」
そして再開! 10分ほど、過ぎた頃でしょうか? 終わったらコーヒーでも飲んで帰ろう。そんな考えが湧いてきました。その後は、あのパソコン買おうかな? 車にガソリン入れなきゃ! 明日って予定どうだったかな? など、意識していない考えがどんどん湧いてきます。
味わうどころか、次々に考えが湧いてきます。とても何個考えたかなんて数えられませんでした。足もしびれ、今度は足の心配をする概念が湧いてくる始末です。ちゃんと帰れるか! やっぱり家の近くの○○寺に行けば良かった! なんていう概念まで湧いてきます。
足のしびれに耐え、何とか最後までリタイアせずに終了できました。法話のときに感想を聞かれました。
「今日は集中できいつもよりくだらない事でも多くの概念が湧いてきたのを感じました」
と応えました。
「それは違うんですよ。いつも貴方はそういったことをたくさん考えているんです。考えたことを忘れてしまったんですよ。ただそれだけ。今日は何回か数えることに集中したから、多く感じるだけではないでしょうか? 坐禅は、湧いてきた概念を深追いせず、あるがままにしておくレッスンです」という話を伺い、納得しました。
そうですよね。私に限らず、人は1日にたくさんのことを無意識に考えています。そのなかで悩みになることは、実際にはそう多くはないのだと思います。興味のあること、嬉しいこと、楽しいこと、気持ちの良いこと、逆に嫌なこと、痛いこと、不快なこと等の印象が大きいものをいくつかを取り上げて、今日は良い日だ、悪い日だ!と決めてしまっているんだと思います(もちろん、悩まなければならない状況のときもあります。ここでは、日常の悩みについてです)。
ある心理学者は、1日に湧いてきて考える概念は6万回と言っていました。
私自身は悩んでつらいときこそ、ゆっくり自分自身と対話してみようと思っています。それが上手くできたときは、悩みがきっかけとなり、成長できているように感じます。
苦しみは人間を強くするか、それとも打ち砕くかである。
人が自分のうちにもっているものに応じて、どちらかになる。
カール・ヒルティ(幸福論より)