辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方
一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。
- プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)
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1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66
声の強弱
カフェや居酒屋などで打合せやミーティング、懇親会などで簡単な打ち合わせ等をします。
コーヒー一杯で場所を借りることは申し訳ないので、少し多めに何か注文したりします。打合せ内容や面談等では真剣な空気感で相手と向き合い話し合っているときがあります。そういった際に、注文した飲み物など店員さんが持ってきてくれます。
店のマニュアルでは、「〇〇をご注文のお客様」「お待たせしました」など、元気良く言い、商品を席に持ってくるようになっているのだと思います。間違ってはいません。しかし、客の雰囲気などを見て、声の強弱等を察してほしいと感じるときもあります。話に真剣になっているときなど、店員の声で驚き話が途切れ、そして話が中断されたりします。
「静かにしてほしい」と思いますが、間違ったことをされているわけではないので何も言えません。
ただ、少し気を遣ってほしいなと感じるときがあると思います。こういった店には、また行こうとはなり難いものです。逆に少しの声のトーンで心使いが感じ取れ、また行こうとなることもあります。これは小さな事柄のようですが、大きな問題です。
例えば、1人のお客さんが月に5000円程をその店で使うとします。年間6万円も使ってくれること(商品を買う)になります。こういった1人のお客さんを知らずに失ってしまうと、年間6万円の損出です。ちょっとしたことで失ってしまうには大きな損出です。
これは、介護の仕事でも同様です。例えば、デイサービスの送迎、訪問介護のスタッフ等がご自宅に伺った際に家のインターホンを押します。そして出て来た利用者様やご家族様に対して、「元気よく挨拶」することを指導している事業所は多くあります。しかし、家族や利用者様の状況によっては、近所との関係などから「元気良い」挨拶が不快になることもあります。
また、利用者様世代は、我慢してしまう傾向があります。配膳の際の出し方、入浴介助時のちょっとした介助で我慢させてしまうと利用を控えたり、他の事業所の利用を考えてしまうこともあります。介護の仕事では特に利用者様の立場に立ってと言いますが、どう立つのか? それぞれのスタッフのフィルターによって違ってきます。そういった相互の良いフィルターを高め合う、感性を高めるための連携やシュミレーションを行うことが大切です。
クレームとして言っていただくことは改善の機会を得られます。しかし、多くの方はクレームを言わずに他のサービスを利用します。そういったことを踏まえること、そのためには、飲食店やデパートなど自分が客の立場になった際にどう感じるかを観察することも必要です。
マニュアルも大事ですが機敏を察した対応を高めることも重要です。