辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方
一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。
- プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)
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1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66
地域に根差す
去る11月14日、群馬県みなかみ町で私の主催する研究会メンバーである、株式会社あかねの茂木社長の通所介護施設「デイホーム2910」の開所式のサポートに行きました。
茂木社長の母親は、NPO法人で福寿草というデイサービスを経営しています。「ふくじゅ」という名称に思い入れがあるので、何かアレンジして使用したいという相談がありました。第二福寿草や福寿草アネックス等、さまざまな名称が出ましたがぱっとせず、少しひねりを入れようと考えました。数字にしてみようという話になり、当て字で「ふ―2」「く―9」「じゅ―10」で2910と決定した経緯があります。
開所式での茂木社長の挨拶がとても良かったです。
この挨拶は介護事業所の使命感が感じられるのでご紹介します。
「今から18年前、何の前触れもなく父が他界してしまいました。朝まで普段と変わらない様子の父が他界するなんて、子供ながらに私は信じられませんでした。私は一人っ子ですので、それから母と二人で頑張ってきました。高校を卒業し上京し、遊び半分の仕事をして好きな事ばかりをしていました。今もそうですが母には心配をかけていたと思います。そんな時に母から相談があると言われました。3年前の事です。デイサービスを開設しようと思うのだけど、どう思うという相談でした。やっと子供である私が独り立ちし母がしたいことをしていく状況になったのだと思いました。私は母に頼まれるのではなく自主的に僕も手伝うから一緒に頑張ろうと伝えました。少し親孝行の気持ちもありました。実際に介護の仕事を始めてみると感じたことがありました。自分は知らなくても私を知っている利用者様がいること。そして大きくなったね等といって下さること。自分が知らないだけで、母と子で生活している私たち家族を地域の方々は見守ってくれていたということを感じました。その時に、私自身、大きな決意をしました。今度は自分が地域の方へ恩返しをしたい。その方法が介護であり、その形がこのデイホーム2910です」
自分が介護を目指した動機、使命がしっかりと伝えられていました。開所式では直木賞作家の志茂田カゲキ先生、格闘家の堀哲さん、福祉ジャーナリストの代居真知子さんが講演されました。
開所式、内覧会というと、事業所側からの一方的な情報発信ばかりが目立つこともありますが2910のように来館される方にも大きなメリットがあるような仕組みにすることも大切だと実感しました。