辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方
一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。
- プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)
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1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66
新入社員
4月は新年度ということもあり、多くの企業では新入社員が入社してくる時期でもあります。大手企業の入社式など、テレビで放送されている映像の新入社員が意気揚々としている姿を目にすると、懐かしくも感じます。
介護業界では人材獲得が難しい上、介護事業者が経験者を求めることが多いので、新卒採用はしないという方針の企業もあるようです。当社は中途ではありますが、新入社員を1名採用しました。27歳の男性で、介護は未経験です。
彼は経歴がユニーク。キックボクシングの元チャンピオンで、5つもタイトルを獲得した選手であり、闘魔(とうま)というリングネームで活躍していました。今年引退し、私の経営するジムでインストラクターとして勤務していた際、介護職にも興味があるとのことで、正社員として採用しました。
もちろん、人柄と考え方を重視した上での採用です。体育の教員免許も持っており、少年サッカー教室の指導なども行っています。
華やかな世界に感じるキックボクシングの業界ですが、日々の練習の厳しさ、自己管理の大変さ、減量など、目に見えていないところでの努力は並大抵ではできません。
一つのことをやり遂げている人は、応用すれば何でもできると思います。キックボクシングに限らず、スポーツは「試合に勝つ、優勝する」など、目標が明確にみえます。仕事でも、お客さまに喜んでいただく、できないことをできるようになる、売り上げ目標を達成するなど、目に見えやすい目標もあります。
しかし、その目標を最初に達成したときは充実感や達成感があります。慣れてきてその繰り返しになると、気持ちがマンネリ化してしまうこともあります。そういった繰り返しが、飽きやモチベーションの低下につながります。
大切なのは、目標に合わせて目的をどうもつか、どう認識するようにするかを自分自身で考えられるようにすること、同時に、上司として新入社員や部下に目的を考えられるように促すことが大切だと思います。
それでは、目標と目的の違いは何でしょうか。よくたとえられる話を記します。
建設現場で働く3人のレンガ積みの男がいました。
そこを通りかかったある人が、彼らに「何をしているのか」と尋ねました。
1人目の男は「レンガを積んでいる」と言いました。
2人目の男は「カネを稼いているのさ」と言いました。
3人目の男は「町の大聖堂を作っているんだ!」と言いました。
1人目の男は、仕事を「作業」としています。
2人目の男は、仕事を「稼業」「職人」としています。
3人目の男は、仕事を「使命」として感じています。
3人目の働く意識は、大聖堂建設のため、町のためという目的です。
目標はレンガを積むこと。しかし目的は違います。何のためにレンガを積むのかが重要です。目標に意味、意義、使命がプラスされてこそ、目的になるのです。
自分自身の仕事の目標を見失いそうなときは、再度、目的と自分が行うべき使命と意義を考えることが大切です。