高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
「サッカーが空手に役に立つ?」
昨日は宮崎県都城市でした。そこで、とても興味深い話を聞きました。話してくれたのは某社会福祉法人のTさんです。
彼は40歳。いま法人の経営企画室で活躍する社会福祉士であり、介護支援専門員です。
話が進むにつれ、どのようなスポーツをしてきたのか、という話題になりました。
「私は体育会系で、大学もそうでした。そこでは柔道をやっていましたが、今は極真空手をやっています」
極真空手といえば、あの牛の眉間に正拳突きを入れて、一発で倒したという伝説の空手家・大山増達が起こした流派です。当時の他の流派を「真剣みのない空手ダンス」と揶揄し、生きるか死ぬか、真剣勝負の「フルコンタクト」(つまり相手の身体に当てる)空手で、他の流派を圧倒しました。
「強さでいったら、普通の空手の5段が極真の2~3段」といわれるほど、強烈に強い極真空手。Tさんは、なんと九州大会の35歳以上の部で3連覇しているという猛者です。
「日常の仕事はやさしさを求められる高齢者ケアをやりながら、一方で野獣のような凶暴な?世界に生きているんですね(笑)」
と話すと・・・
「いや、それが、自分にとってバランスがいいですよ、実に(笑)」
本当に、いいストレスケアになっているようです。
そこで、私は、どういう人が極真空手をやるのか?という質問をしました。Tさん自身がもともとは柔道をやっていたからです。
「そうですねぇ・・・(しばし考えて)、うん、元サッカー選手が多いですねえ」
これは意外でした。
「それって、やはり足を使うからですか?」
素朴な私のツッコミです。
「そうですね、サッカーをやっていた人は体幹がいいんです。空手は身体のバランスがとても大切なんです。だから体幹なんですね。サッカー選手は、空手をやらせても呑み込みがいいですよ」
「蹴りはかなり、ですよね?」
「ええ、かなり、強いです(笑)」
なんと、将来、サッカー選手にしたい親は子どもを空手教室に入れるそうです。体幹づくりと礼儀・作法を身につけるにはちょうどいいようです。
これは実に興味深いと思いました。
介護・福祉の仕事に新卒で就く人は意外と多くはありません。中途採用で入る人が圧倒的に多いのが現状です。それは良くないことではなく、むしろ総合的な能力を求められる時には、かつての仕事経験が活かせるチャンスとなる、と私は考えます。
たとえば認知症ケアの現場では、以前、演劇を経験していた人はじつにうまく話し相手になっています。ケアマネジャーでも、以前、ジムの仕事をやっていた人は書類の整理やパソコン入力は実にうまい。元旅行会社のツアーコンダクターの人は、利用者(家族)と話を合わせるのは上手ですし、なにより緊急時の対応が的確だったりします。
「旅行会社で、老人会のツアコンの時は急病も含めて、いろんな事故を想定して、動きます。それに比べれば、ケアマネジャーの仕事は楽です」
いみじくもそう回答してくれた男性ケアマネさんがいます。
「何かが何かに役に立つ」・・・
もしかして、これを読んでいるあなた、もっと自分を掘り起こしてみてはどうでしょう。
意外にいい面、活かせる面が発掘できるかも?
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