高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
私のおすすめ本~小説「後妻業」
私は本を読むのが好きですが、じつはそんなに速くありません。
よく「年間100冊は読みます」と豪語される方がいます。果たして、どのような読み方をされているのか・・・それもハードカバーの本もあるわけですから・・・ほとんど流し読みでしょうか?かつて「斜め読み」という読み方がありましたが、とてもとても・・・(>_<)。
ただいろんなジャンルの本は幅広く読んでいますね。
速読法なんて、出版社にとって好都合なわけ。たくさん買って、たくさん読んで、またたくさん買ってくれるわけですから。・・・それって、単なる「活字中毒」なだけじゃないかな、と思います。
だいたい、たくさん読んでいる人が「切れ者か?」というと、すべてがそうではなく。ただ、知っている、読んだ、と周囲に自慢?したいだけの人だったり。
そんな私でもいっきに読んだのが小説「後妻業」(黒川博行著:文藝春秋刊)です。実は、この本は敬遠していました。表紙の老人の絵のリアルさと「爺を騙すのは功徳や」という、帯タイトルが妙に癇に障ったからです。
と、ところが、いまメディアを賑わす京都のK井という女性が起こした事件を調べるにつけ、あまりの共通点に、これは読まねばと思い立ったというわけです。K井も本の主人公・小夜子も高齢者の結婚相談所のシステムを活用し、これはといった男性に狙いを定めて結婚を迫るというものです。
後妻を「職業」としている女性が結婚相談所を使って仕事をしているというわけです。
K井が結婚相談所に提出した条件がなるほど、です。
- ・財産持ち
- ・家族仲悪し(子どもいないとベスト)
- ・持病持ち(ここがスゴイ)
そして結婚する条件が「公正証書遺言」を書かせるというもの。内容は「すべての財産を〇〇に相続する」というもの。遺族・親族が知ったら怒り心頭な内容です。だって知り合って半年余りの相手に相続をさせるという中味なのですから・・・
これは裁判所の判決並みの効力を持ちますから、遺産相続ではかなりの効力を持つことをK井も小夜子も十分熟知したうえで、使いこなしています。
京都の事件は、顧問弁護士がグルになっており(週刊文春12/11号)、小説では、結婚相談所の所長・柏木がグルになっています。会員登録の際に全員に財産目録を書かせるので、一目瞭然なわけです。
柏木がうそぶきます。
「金が欲しいんやったら爺を紹介したる。
1千万でも2千万でも、おまえの手練手管で稼げや」
最近、成年後見絡みの問題ケースを聞くと、「内縁の妻」の存在をたまに耳にします。家族からも疎遠に扱われ、そこに内縁の妻が都合よく入り込む。当人も、自分をないがしろにする子どもたちより、世話を焼いてくれる「内縁の妻?」にすべてを譲りたい・・・
みなさんが仕事で出会う場面もあるのでは?
ということで、小説「後妻業」をおすすめします。
小説という意味でも、とてもおもしろく読めると思います。
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