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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

ケアプランは誰のもの?

 先週に続いてケアプランです。今週は、西東京市(旧田無・保谷市)でケアマネジャー向けに「本人の意向・家族の意向のわかりやすい書き方」をテーマに4時間の研修でした。

 今回は、ケアプランのプランニングではなく、第1表の本人(家族)の意向の表記のみに着目した研修でした。

 今回も、現状のケアプランの傾向の分析ののちに、各自持参いただいた「自信作のケアプラン」を自己チェックしてもらいました。


 持参いただくケアプランは、かならず「要介護1~2」の軽度のプランにしてもらっています。これを指示しないと、要介護4~5の重度の方のプランを持ってくる人がいるからです。もちろん、重度のケアプランチェックも大切ですが、この手のプランには、

  • ・本人の意向が聞き取れていないことが多い
  • ・家族の意向が介護サービス利用に偏りがち
  • ・2表がADL改善・維持か服薬管理、体調管理に偏りがち

などの傾向があるからです。

 軽度ですと、ご本人から意向を聴くことは可能ですし、自分なりに行えること(自助)もあるからです。家族も介護サービス利用の希望だけでなく、家族なりの関わり方(互助:話し相手、安否確認、声がけ、移動・入浴介助、見守りなど)も可能だからです。

 今回も、ご多分にもれず、みなさんのケアプラン自己チェックの空気は張りつめたというか、ため息まじりになります。

「先生が指摘するように、安心・安全が多いです」

「いつまでも~、元気に~、いきいきと~などを書いています」

「社会参加って使っていますぅ・・・あぁ、どうしよう」

「こんな言い回し、されていませんよね。」

「感想と感謝ばかりですね・・・(笑)」


 まず、私が強調するのは、次のことです。

「みなさんに気づいていただきたいこと、それは意向とは未来形ということです。感想や感謝は過去形です。お詫びや愚痴やあきらめの言葉は自己否定です。もちろん、なかなか話してもらえないという声を聞きます。そこをしっかりと寄り添い、これからどうしたいのか、どのような暮らしぶりに戻りたいのか、それを引き出すのが皆さんの役割ではないでしょうか?」

 ここのところを忘れてしまい、介護サービスのマッチングと調整ばかりに四苦八苦しているケアマネジメントなら、みなさんの介護報酬は高すぎるかもしれません。

 さらに問題は・・・本人(家族)の方々が、ケアプランの読み方を、ほぼ理解をされていない例が多いという事実です。

 今回もこの話題を取り上げました。

「ある互助組合の介護講座で4時間の講義をした時のことです。テーマは“介護費用を安くするためにどうすればいいか?”。実践的なノウハウは後半にお話するのですが、前半に介護費用は何で決まるのか、それを決定づけるのはケアプランです、と説明し、実際のケアプランの見方・読み方を解説しました。30数名中5名の方が、現在進行形の介護家族の方でした。その方たちは、どの方もケアプランの見方を知りませんでした」

 これは大変な問題だと私は考えます。本来、ケアプランは本人のものだ、と言いながら、本人(家族)たちにはそもそもの説明が十分されていない。だから注文のつけようがないわけです。

 介護保険は自立を支援するといいながら、その意味さえ伝わっていません。ケアマネも介護サービスを使うためにいる人だ、の認識しかないようです。これでは御用聞きケアマネ扱いをされるのは当たり前でしょう。

 介護保険がはじまって15年が経過・・・ケアマネジャーという言葉は知られましたが、ケアプランへの理解は相変わらずです。

 では、どうしたらよいか・・・?

 まずは、本人(家族)の意向が「本人らしさ」にあふれた表記になっていること、です。そして、本人の「らしさ」にあふれた暮らしを支えるための課題を立て、それをめざした段取り(目標)と内容、担う人たちと役割が描けていること・・・

 今回も西東京のみなさんと、月刊ケアマネジャー11月号も紹介しながら、いっしょに学びました。


 今回も研修最後に「ケアプラン書き換えパフォーマンス」を行いました。わずか20分程度しか時間は取れなかったのですが、ケアマネ2年目の方に協力をいただき、書き換え作業をみなさんに見てもらいました。

 みなさん、みるみる変わる文章が、とても刺激的だったようです!(^^)!


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