高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
スーパービジョンと気づき
スーパービジョン研修を依頼され沖縄・那覇市にきています。主任介護支援専門員の3日間研修です。私はこれまで島根県や山形県、事例検討手法などを依頼されていますが、島根県ではスーパービジョンを2年連続して担当しました。
そこで「あれっ?」と思ったのが、事例検討会とグループスーパービジョンが混乱して理解されている状況でした。
講義にあたり、まずはこれを整理しないために、現場が混乱していることがわかりました。
要するに、実際に行われている内容は、事例検討会というより「事例研修会」(ケーススタディ)だなと・・・つまり、事例を通してさまざまな支援方法を学ぶ内容になっているからです。
では、この3つの違いをどのように整理すればよいでしょう。
今回もしょっぱなの初日にこのお話をしました。
私の整理の仕方はごくごくシンプルです。
- ・主役はだれ?
- ・目的はなに?
- ・どのような顔ぶれ?
- ・効果は?
この4つで整理をしました。すると・・・こうなります。
(1)事例検討会- ・主役:ケアチーム&担当ケアマネジャー
- ・目的:支援方法と計画の検討
- ・顔ぶれ:関係者
- ・効果:支援の計画化
(2)事例研修会
- ・主役:参加者(例:新人ケアマネジャー、多職種など)
- ・目的:学び
- ・顔ぶれ:多様(新人、ベテラン、多職種OK)
- ・効果:実践力の向上と成長
(3)グループスーパービジョン
- ・主役:相談者(事例提供者)本人
- ・目的:気づきと振り返り
- ・顔ぶれ:スーパービジョンの種類による
個人スーパービジョン(上司・ベテランと新人専門職)
ピアスーパービジョン(同じ専門性・経験・立場の者同士)
グループスーパービジョン(同じ専門職、多職種など) - ・効果:自己覚知
この整理の仕方が「わかりやすい」とみなさんから好評をいただいています。
もう一つの整理の仕方があります。それはカウンセリングとコーチングの違いです。案外と似ているんですよね、これが・・・(^_^;)。
この3つは次のように整理をしています。
- ・提供者は?
- ・基調は?
- ・時間軸は?
(1)カウセリング
- ・提供者:精神科医、臨床心理士
- ・基調:癒し、共感
- ・時間軸:現在、過去
(2)コーチング
- ・提供者:コーチ(例:上司、プロコーチなど)
- ・基調:動機づけ
- ・時間軸:未来(これから)
(3)スーパービジョン
- ・提供者:スーパーバイザー
- ・基調:気づき
- ・時間軸:現在、過去、未来
いかがでしょうか?いささか思い切った整理かもしれませんが、それぞれの特長、できる領域・できない領域などがわかりやすいと言っていただけます。
このように、さまざまな手法が「微妙に似ている」ために主任ケアマネジャーのみなさんが混乱することだけは避けなければと思い、私なりの整理をやってみました。
スーパービジョンが一番ではなく、目的・参加者によって、事例検討会・事例研修会・事業所カンファレンスのどれが適切かを判断することが重要ではないでしょうか?
その点を「曖昧」にしているために現場が混乱し、せっかくの手法が活かしきれていないのでは?というのが、私の問題意識です。
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私の研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。
ムロさんの写メ日記
「スーパービジョン技法による対人援助職支援」