高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
考えるヒントの本音:支援する
今回は月刊ケアマネジャーの連載「高室流考えるヒント」を取り上げます。8月号のテーマは「支援する」です。このテーマは結構考えましたね(笑)。なにしろ、手間がかかっています。類語辞典や広辞苑を引っ張り出して、調べましたからねぇ。
私が、なぜ「支援する」に興味を持ったかを書きますね。
昨年のケアプラン研修でのこと。持参していただいたケアプランを見ると、やたら、文章の終わりが「~を支援していきます」と終わっているのが多いことに気づきました。たとえば、よくある黄金のフレーズが「在宅での生活を支援していきます」というもの。何をしてくれるのか、さっぱりわからない。
ケアプランの総合的援助方針に、こんなフレーズを見つけました。
「屋外では、車いすを使用して、家族との外出が楽しめるように支援します」
いかがでしょうか?少なくとも、次のような解釈ができます。
- ・外出が楽しめるオシャレな車いすを用意してくれるの?
- ・家族(誰なんだ?)でも押せるような軽い?車いすを用意してくれるの?
- ・家族(or本人?)に車いすの操作を教えてくれるの?
さて、どれでしょう?
まったく意味が違いますよね。支援の意味がごちゃ混ぜになって、利用者(家族)にはさっぱりわからないことになっているのではないか・・・(>_<)
これはまずいなぁ・・・と思いました。なにしろ、あまりに抽象的だし、ざっとしているからです。(書いている方は楽ですからね)
そこで、私は、「支援する」を類語辞典を使って調べました。ところが支援するの類語といえば「援助する」くらいしかありません。
どうやら私の視点が誤っているなと考え、ではケアマネジャーのみなさんが「支援します」と書くシーンを想定してみることにしました。すると8つのシーンに整理できました。
- (1)本人(家族)がわからない、混乱しているとき
- (2)本人(家族)が不安なとき
- (3)本人が躊躇しているとき
- (4)本人(家族)が行った結果に対して
- (5)動作に支障があるとき
- (6)心・意欲を支えるとき
- (7)孤独なとき、さみしいとき
- (8)権利、人権、意向を守るとき
これらのシーンごとに、支援するとは、具体的にどういうことを行うのか、を書き出しました。下の誌面の写真がそうです。
これを参考にするなら、先ほどの文章は次のようになるでしょう。
「家族との外出が楽しめるように、ご家族(orご本人)に屋外での車いすの操作を教えます」
いかがでしょう。何をやってくれるかがわかりやすくなりましたね。このように「支援します」と「まとめる、ひとくくりにする」のではなく、支援する内容に応じて「〇〇します」と書くことで、具体的にすることができます。
月刊ケアマネジャー8月号は、けっこう「使い勝手」ある内容になっています。ご一読されてみてください<(_ _)>
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