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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

言葉の世界遺産

 世の中、世界遺産ばやりですね。私が驚いたのは富士山。遺産というからには建造物と思っていたので、「へぇ~、自然も遺産でもいいんだ」と。だったら、その基準はどうなっているのかと調べてみました。すると基準の数は、10個あり、1つ以上を満たしていなければいけません。やはり建築物や景観、科学技術が対象なのですが、どうやら根拠となった5つ目と7つ目にその基準がありました。

  • V)人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
  • VII)最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。

 これらの基準を満たし、なおかつ、真実性や完全性の条件を満たし、締約国の国内法によって「適切な保護管理体制」がとられていること、と但し書きがあります。

 ここですね、多くの人が危惧したのが・・・「あれほどデカイ富士山を適切に保護できるのか?」「いやいや、世界遺産に指定されたら保護する意識が芽生えるから、むしろいい」などなど。

 ユネスコのWebに「世界のたからをあしたへとどける」とあります。そうですよね、名所旧跡の観光資源指定でなく、世界の未来のために必要だから「保護する」という発想・・・深いですね。

 またまた前置きが長くなりました。ここで紹介したいのは「言葉の世界遺産」のことです。これは、今年の2月、放射能汚染された福島県飯館村の菅野典雄村長の講演を聞いたときです。

「言葉にも世界遺産があります」と菅野村長が紹介したのが、次の言葉でした。

「スペインに伝わる言葉です。多く欲しがる人が貧しい人だ」

「オランダに伝わる言葉です。年寄りが犯した罪を、その子どもたちが罰を受ける」

 戦後、大量生産、大量消費、大量廃棄でやってきた日本のあり方に警鐘を鳴らすすばらしい言葉として菅野村長は紹介されました。

 実は、飯館村は、すばらしいコンセプトの村づくりをやってきました。それは「までいライフ」というもの。「までい=真手い」と書くそうで、その意味は「ていねいに」。ですから、「ていねいな生き方」となりますね。う~ん、深い・・・。


 飯館村流のスローライフを表したスローガンですが、これは、かなりレベルの高い「言葉の世界遺産」だと私は考えます。

 映画「伝説のマエストロたち」(南米)で語られた言葉・・・

「歳の取り方にも、老いていく者と若さを重ねる者がいる」

 これも深いですね。

 自分の人生に影響を与えたら、それは立派に「言葉の世界遺産」ではないでしょうか。だから、指定するのはあなた自身です。

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