高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
-
ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
「あなたがいまの仕事選んでいる理由は?」
昨日は広島県シルバーサービス振興会主催の「介護キャリアパス研修会」でした。タイトルは「介護現場における人材マネジメントと管理職の役割」でした。
そこで話した1つが職業選択の基準です。これは経営学の金井壽宏神戸大大学院教授の「働く人のモチベーション」(NTT出版)を参考に私なりに図解をアレンジしたものです。教授によると職業選択には「動機欲求、能力才能、意味・価値」の3つがあると・・・。
昨日は、講義の冒頭に「どうして介護の仕事を選んだのか、どうしてその職場(法人)を続けているのですか?」・・・なかなかシビアな質問をしました。すると沈黙が流れ、はじめて考えたような表情をみなさんがします。
一番簡単な回答は「生活のためにこの仕事を選びました」というものです。「でも、生活費を稼ぐならばほかにだっていろいろ仕事はあります。ここは広島ですから、車メーカーのマツダにも仕事はありますよね。なぜ介護なのですか?なぜ相談援助職なのですか?ここを自分なりに突きつめていないとリーダーとしてブレルこともありますよ」と話しを続けました。
そこで先ほどの3択です。
「みなさんのなかで介護を好きだからやっている人は?」
「では、この仕事は自分に合っているし能力が発揮できそうだからと思う人は?」
「みなさんの中で、介護は社会的にも意味がある大切な仕事だ、自分自身を成長させてくれる意味ある仕事だと思っている人は?」
私の経験からいうと、新人介護員は「好きだから」が多いですね。30歳前後から以上は「自分に合っている」という人が多くなります。リーダークラスや40歳前後だと「社会的意味や自分育て」を上げる人が増えてきます。
大切なのは、その自分なりの職業選択の「自己イメージ」と、いま自分が置かれている立場とが一致している(アイデンティティー:自己同一性)かどうか。一致していればハッピーです。とても・・・
でも、まずそうそう一致することはありません。ある利用者や現場スタッフとは相性が合ってうまくやりとりができても、反抗的な利用者やクレームをつけてくる家族を相手したり、10歳~20歳年長の現場スタッフのリーダーをやるのはなかなか大変です。
「動機欲求で選んだ仕事でも、求められる能力や才能がなければ、現場や利用者に迷惑をかけることになります。能力や才能で選んでも、さらに困難な認知症の方と対するとなれば、さらなる勉強やスキルアップが必要です。社会的意味や価値で選んだとしてもモチベーションが低ければチームにいい影響は与えません。つまり、なにかが突出していることはとてもよいことですが、そうでない部分をどのように底上げするかが大切です。リーダーは現場スタッフのその部分を支援する、それが仕事です」
という意味の講義をしました。
中堅リーダーは、いわば間接援助の技法が求められる立場です。初めて聴く話も多かったらしく、みなさんとても集中して受講されていました。
これを読んでおられるあなた・・・自分が描くケアマネジャー像といまの立場・環境は一致していますか?もしかして自分で折り合いがつけられなくてストレスを溜めこんでいませんか?
-
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第406号(無料)は「Oh!ポジティブ心理学」(第1・3木曜日に配信)です。メルマガは随時登録受付中です。
ケアタウンの公式HPでは東京スクールのお知らせ(6月、7月、8月、毎月開催!)と申し込みをすることができます。
私の研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。
ムロさんの写メ日記
「ケア現場における人材マネジメントと管理職の役割」