高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
認知症ケアの突破口
以前から、その表紙が気になっていた本がありました。
その本は、『認知症ケアの突破口』(梅本聡 著、中央法規出版 刊)です。ブックデザインがなかなか斬新なのと、梅本さんの著者名の前に「介護福祉士」との肩書があったので、なぜか私の目を引きました。
先日、引っ越し前の中央法規出版(代々木駅そば)に顔を出すと、T田女史とバッタリ。聞くとこの本の担当編集者とのこと。話題にしたところ、「では、事務所にお送りします!」とありがたいお言葉。
そして、一週間後。手に取った日に一気に読みました。いや~、おもしろかったですね。
10代は登校拒否状態で、テキトー?な高校生活を送り、なんとなくの気分で福祉専門学校に入り、とりあえず福祉現場で働き始めた梅本さん。持ち前のひねくれた性格のおかげで、福祉・介護現場に対し疑問を抱き始めます。
これは、利用者の「入浴介助」をめぐっての記述です。
「このように入浴という行為を場面ごとに分解し、自分の五感を使ってその人が有する能力を知り(情報を集める)~」という記述を見つけました。まさに、私がアセスメント研修で伝えている、「ひとくくりの生活行為をこまごまとした身体行為に分解し、何ができて、どこに支障があるかを分析しましょう」という説明に合致する表記です。
「笑ってばかりでなくたっていい」
この中見出しもいいですねぇ。梅本さんは、3年間のグループホームの実践を、「入居者一人ひとりの希望や要望に沿って介護を提供しよう」とまい進してきたそうです。イベント盛り沢山、外へ出ようと、かなり個別ケアの実践をやってきたわけですが、4年目になってハタと立ち止まります。
「4年目を迎えたときの入居者の姿は、ボーとした表情で、何事においても受動的。まさに死んだ目の状態だった」
この現実の前に梅本さんは、「疲れた」を言い訳に何の手立てを打たなかったといいます。その理由を、「こんなにやってあげたのに、という自分本位な思いに対する入居者の裏切り(死んだ目の状態)に、やる気をなくしていたのだ」と内省します。
あまりに現場が笑顔を引き出そうと、イベントや余暇活動の充実、認知症の人とのコミュニケーションに走るのではないだろうか、と疑問を抱きます。
そして今、「笑いたくもないのに無理して笑わなくていいですよ。…人として生きていることを実感して、いきいきとした目を取り戻してください」とやさしく語りかけます。
私は、施設のリーダー研修などの場で、現場の介護職が「利用者の方の笑顔が見たい」「笑顔を見ると励まされる」というのを耳にすると、とても不思議な気分になります。あなたたちは芸人なの?タレントさんなの?あなたたちは暮らしの支援をする専門職のはずです。
よく考えてみてください。普段、私たちは家庭でいつも笑っているでしょうか?くつろいでいる時ほど無表情(リラックス)なのに、それを許さないで笑わせようとするのは、相当に強引なことです。ましてや、「ありがとう」と感謝の言葉を前提にしている職員もおり、それを言わないと「なぜ?」と落ち込む。だいたい、「ありがとう」と感謝の言葉をいちいちいちいち、一日中言い続けなくてはいけない本人の気持ちはどうなのでしょうか…
そしてケアをするたびに、ご本人が「こんなこともできない、情けない、惨め」と思わせているかもしれないということに想像が及ばないのだとしたら、いかに提供者主体のケアとなっているかの表れではないでしょうか…。
まずは、とても気づかされる、刺激的な言葉が氾濫?している本です。これはおすすめ。
長谷川和夫先生(認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長)と和田行男さん(大起エンゼルヘルプクオリティマネージャー)のすてきな推薦メッセージが、本のオビに入っています!(^^)!
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ムロさんの写メ日記
水曜日は、名古屋市民生委員児童委員連盟中川支部の研修会でした。会場は名古屋駅隣りのマリオットホテル。約400名の皆さんで会場はいっぱい。
テーマは「地域のつながりづくりと民生委員児童委員の立ち位置」。サブタイトルは「地域住民と進める福祉のまちづくり」です。中川区は名古屋市でもっとも大きい区。多様で深刻なケースに関わる民生委員の方も多く、終了後の懇親会の席でも相談を受けました。
中川区の早瀬弘親区長と4人で記念写真に納まりました。この講演の縁をつないでくれた竹尾朋子さん(写真中央)が活躍する八熊学区民児協メンバーのみなさんです。