高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
異聞:息子さん・娘さん・家族さん
「みなさん、これまでに息子さん・娘さんと相手を読んだことがある方はどれくらいいます?」
するとドワッと手が上がります。これは今週、研修でうかがったった上越市も仙台市も同じです。
全国、いずこでもそう・・・
そして次に「ではでは、家族さんと呼んだことがある方は?」
これもなんの躊躇もなくおおぜいの方が手を挙げてくれます。
「家族さんって誰のことですか?その方が家族を代表しているのですか?たまたま次男の妻だったってこと、ありますよ」
そして私が次に言います。
「私のお願いは、これからは、息子さん・娘さんって言わない、家族さんとざっくりと言わない、という話をいまからします」
すると会場はがやがや・・・と急に騒がしくなります(^^;)。
すぐに言っている意味がわからない、という空気が流れます。そりゃそうでしょうね、今まで、そういうのはあったり前だったわけですから。
ですから・・・・・。
50代~60代の女性の方に近づきます。
「もし、〇〇さんのご両親のどちらかが要介護となって、(周囲を見回し、30代前後の女性ケアマンさんを指で示して)あの彼女がケアマネジャーとしてやってきました。そして〇〇さんのことを、娘さんはどうお考えですか?と尋ねたとします。いかがでしょうか、そう呼ばれるのは?」
「え・・・え~と、やっぱりどこか妙ですよね。嫌ですよね」
つぎに男性の50代以上のケアマネジャーを見つけて同じ質問をします。するとキッパリと・・・
「嫌ですね、変ですよ(笑)」
との返事です。
「では、ご自分より年長、そうですね、70代としましょう。70代の施設長さんから息子さん、娘さんと呼びかけられたら違和感はありますか?」
「いえ、それは別に・・・とくに」
ほとんどの人がそう答えます。
「どうやら息子さん、娘さんの呼び方は相手より年長の方が言ってもよい言い方のようです。つまり家族のみなさんの多くは50代~60代ですから年上です。その家族の方々はみなさんの言い方をちょっと常識がないな、と思っています。この介護・医療の業界で当たり前であってもとても非常識をやってしまっている。大変礼儀を欠いた事なのです」
ここで会場はシーンとします。
なにしろ家族のみなさんに寄り添うことに誇りをもっているみなさんです。そこに「知らぬ間に相手を傷つけていた」ことを知ったものですから、少々、いやショックなのは当然でしょう。
「だから、これからはご長男、次男の方、ご長女、次女の方などの言い方をすればよいのです。もちろん一人っ子の人もいますね。長男といえど姉が3人いる末っ子の長男の方もいます」
「どうすればいいのですか?」
「簡単です。どのようにお呼びすればよいでしょうか?と尋ねればいいだけです。名字がいい人もいれば、下の名前がいい人もいます。長男・次男がいい人もいるでしょう。相手に決めてもらえばいい、それだけです」
私はこのようなことに気づいていない介護の皆さんが悪いとは思いません。もしこの仕事についていなければ、使わなかったでしょう。おそらく業界のちょっと変な常識がよくないのです。
あとは気がつけば直せばいいだけです。
「明日からすぐに直せばそれでいいのです。反省なんか1回でいいのです。落ち込む必要なんてありません。」
仙台市の研修で最前列にいた50代の女性ケアマネさんが私に耳打ちしてくれました。
「先生の研修を3年前に受けました。そのとき、このことを聞いてショックでしたが、すぐに直しました。どうお呼びすればよいでしょうか? と尋ねるとみなさん答えていただけるんです。それからとても関係がよくなったんです(笑)」
隣りで聞いていた30代の男性ケアマネさんは「へぇ~、そうなんですかぁ」と感心していました。
ささいな事でも言い続けること・・・
言い続けることで、一人一人が少しずつ直ること。
それでケアマネジャーのみなさんと利用者(家族)の方々との関係が近くなること・・・それが願いです!(^^)!
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