高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
長崎道:80代の男性が40キロを逆走
このように高齢者ドライバーは、様々なリスクを抱えながら運転をしています。
もしこれが、認知症の方だったら…どこを運転しているかわからない、不安でキョロキョロする、「何て運転してんだ!」という叱責に焦る、車の不調(例:ガス欠)が予測できないなど、リスクでなくクライシス(危機)となります。
もしこれが、高速道で起こったら、しかもそれが逆走だとしたら…自動車を運転される方は想像しただけで、背筋が凍るのではないでしょうか。
事故を起こすこと自体が大変な問題ですが、事故後の対応がさらに事態を深刻にします。つまり、認知症とわかりながら家族が運転を容認していたなら、仕方ないと見て見ぬふりをしていたなら…
その家族は、認知症の人の「運転幇助(手助け)」ということで、損害賠償の責任が問われるかもしれない、ということです。
飲酒運転がわかりやすい例でしょう。居酒屋に自家用車で来て、運転して帰ることがわかっているのに店側がアルコールを出したら、ここで「飲酒運転幇助」が問われます。そして事故でも起こしたら…もちろん店側が一つの原因を作ったわけですから責任は重大です。
昨年、愛知県の名鉄で、徘徊した認知症高齢者が電車にはねられ、その妻と長男夫婦が約730万円の賠償金を請求されるという裁判が注目されました。これは家族の「監督義務違反」が問われたものです。
高齢者ドライバー問題、認知症ドライバー対策は、警察の交通安全課や交通安全協会だけでなく、自動車学校、ガソリンスタンド、自動車整備工場など、「クルマ社会」に関わる人たちとの連携なくして解決の道は見つかりません。
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