高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
長崎道:80代の男性が40キロを逆走
昨日の毎日新聞(電子版)に、ある記事が載りました。簡単にまとめると次のような内容です。
- 4月3日午前5時20分ごろ、佐賀県武雄市の長崎道を走行していたドライバーから、「下り車線を逆走している車両がある」との110番通報。同県警は、東脊振IC~多久ICの下り線を通行止めにし、高速道路交通警察隊のパトカーも逆走して約20分間追跡。約40キロ離れた佐賀市の金立SA付近で発見し、軽乗用車を停車させました。
高速隊によると、運転していたのは、福岡県筑紫野市の80代の男性で同乗者はなし。男性の説明は曖昧で、逆走の理由や進入経路は不明。通行止めの時間は約15分間でした。
九州地方の新聞にも掲載されたのではないかと思います。
認知症高齢者を支えるための徘徊模擬訓練などが、積極的に行われています。これは、地域住民や子どもたちへの啓発活動&意識づくりにはとても有効な方法で、発祥の地・福岡県大牟田市でも取材をさせてもらった経緯があります。
しかし、しかし…
事は、「歩いて徘徊」のレベルを超える事態がリアルに進んでいます。それが、「自動車で徘徊」という現実です。本人が歩いている分には発見もしやすく、声がけもできるでしょう。ところが、自動車となると、かなりの危険度が伴います。
今、私は、認知症ドライバー問題に真剣に取り組む時期に来ていると講演会で話すようにしています。まず、高齢者運転の問題点を整理すると次のようになります。
- (1)よく見えない・聞こえない
標識や場所、ほかの車両を視覚で認識することができない・遅い、クラクションも聞こえない - (2)判断が遅い
右折・左折の判断が遅いので急ハンドルになりやすい、本人も怖いのでノロノロ運転になりやすい - (3)操作を間違いやすい
止まるつもりで踏み込んだらアクセルだった、ドライブモードに入れたつもりが「R」(バック)だった
自動車の運転は、交通事故の危険と隣り合わせです。数年前、女性の高齢者が4輪駆動車を運転中、隣席に置いた携帯電話が鳴ったので手を伸ばして取ろうとした瞬間にハンドル操作を誤り、登校中の小学生の列に突っ込んだ事故がありました。数人が亡くなった大変な事故でした。