高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
やさしく言いかえよう介護のことば
私が依頼される研修のなかでもちょっと異色なのが「文章と記録の上達術」の研修です。現場のケアマネジャーのみなさんはたくさん書類を書くことが多く悩んでいる人は想像以上の数なのに文章上達の研修はまずありません。
それは、教える人がいないから、です。
カルチャーセンターでやるような小説やエッセイの文章講座はありますが、きわめて実践的な実務上の文章を書くケアマネジャーにとってはちょっと方向性がちがいます。
かといって文例集などを参考に「居宅支援経過記録はこのように書くのです」とスタイルばかりを教える講師だと、ワンパターンな文章しか書けなくなります。
私は20代の編集者やライター時代の経験、ここ10年間、ほぼ年間2~4冊の新刊を出し、月刊誌の連載をやってきた経験をもとに、どのようにすれば文章がうまくなるのか、を研修で実践的に教えています。
具体的には日本語文の特徴から「主語・述語」の法則、副詞・接続詞の使い方などをお話しします。そして、なぜ「あいまい表現」になるかを分析しながら、具体的でわかりやすい文章のコツを伝えています。
そのなかでも重視しているのが「介護の専門用語」のわからなさです。これは本当に複雑というより「複雑怪奇」といいたくなるほどに不思議な用語のオンパレード。しかし、どう言い換えればいいか、いつも悩みの種でした。
そんな私にタイムリーに力を与えてくれる本が出版されました。「やさしく言いかえよう介護のことば」(遠藤織枝、三枝令子編著:三省堂)です。
この本はEPAにからんだフィリピンの介護士の日本語教育にかかわった日本語教師や研究者によって作られました。この執筆チームにとってもかなりの衝撃だったようです。
「介護の現場のことばのむずかしさ・わかりにくさは想像以上でした。このままにしていたら困るのは私たち日本人ではないだろうか」
とまで「まえがき」に書かれています。
引き継ぎのやりとりが次のように再現されています。
「21ジ30プンニ ガショウシマシテ、イゴ ニュウミンサレテオリマス。」「23ジ ホウシツシタトコロ、メ、カイガンサレテマシタ」
フィリピンの彼らにはこのような音で耳に届いています。
「ガショウ:臥床」「イゴ:以後」「ニュウミン:入眠」「ホウシツ:訪室」「メ:目」「カイガン:開眼」
どうでしょう?
では、次のように言いかえたらどうでしょう。
「21時30分に、横になられて、それから眠っておられます」
「23時 お部屋に入ったところ、目は開いていました」
これならたいていの人なら誤解なく理解できるでしょう。
この本のポイントはただ言い換えを示しているのでなく、いつからそのように言うようになったのか(江戸時代~)、どの医療用語の影響を受けているのか、音だけだとどのような用語と誤解が生じるのか(同音異義語)までていねいに説明されていることです。
また命令口調や断定口調でなく、「~と言ったほうがよいでしょう」と提案型、示唆型の言い回しなので読み手も素直に納得することができます。
本書は「言い換え」をめざしていますが、実は「書き換え」にもおおいに参考になります。
「座右の1冊として手元においてはいかがでしょうか?」
いい本が出版されたとつくづく感謝です!(^^)!。
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研修会場・写メ日記
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