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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

新しい面接手法~実技観察をやってみた~

 昨日から石川県社協主催「トップマネジメントセミナー」の3日目です。今回のテーマは「福祉職場の人材採用」。その基本となるコンセプトは「複数面接と実技観察」です。
 これまで、私は従来の施設長や事務長の単独面接ではなく、現場リーダーが入った複数面接と介護技術を見せてもらう実技観察の実施を提唱してきました。それが石川県福祉人材課に着目され今回の実施となりました。


 2週間前に複数面接トレーニングを行いました。このときは3人1グループになり2グループで「面接者側」と「応募者側」に分かれ、1人20分のワークショップを6クール行いました。
 その流れはこうです。

  • ・5分間:法人側の理念・行動指針のプレゼン
  • ・5分間:複数面接~10の質問シートを使って~
  • ・3分間:評価
  • ・1分間:本人に評価の伝達
  • ・6分間:振り返り

 面接質問も施設長役が独り占めするのでなく、事務長・現場リーダーにも割り振り、全員で聞き取ることをトレーニングしました。


 そして今回は応募者の実技を観察するトレーニングです。
 冒頭、みなさんに「採用時に実技レベルについてどのような不安がありますか?」と話し合ってもらいました。
「採用面接のみでは、どの程度の能力を持っているか不明瞭で、即戦力として扱えるのか不安です」(M.Aさん 現場リーダー)
「資格が果たして実践力を伴っているのか、コミュニケーション能力があるかどうかがわからない」(K.Sさん 採用担当)
「実際にご利用者に接したときに、どのように接することができるかは面接だけではわからないままの採用はこわい」(T.Sさん 生活相談員)

 一部を紹介しました。このように採用にあたって不安をかかえていながら、「人が足りないから」を現実に目をつぶって採用するのは「無責任」ではないでしょうか。
 私は「落とすための実技観察」「難癖をつけるための実技観察」ではなく、言葉で表せない実技だからわかる応募者の魅力や能力を見出す場として提案をしています。
 そして上手・下手を見るのでなく、本人のアセスメント力、想像力、分析力、判断力をリアルに判断できます、と説明しました。


 始める前に福辺節子さん(理学療法士)から、「声かけ」のポイントから面接評価にあたっての着目点、利用者役をする人が注意することなどを40分講義してもらいました。


 ではいよいよスタートです。進め方は次のような流れです。
 2グループが1ユニットとなり、一人20分で進めました。

  • ・1分間:現場リーダーが1回目の設定(片麻痺、軽い失語症)を説明&応募者の質問
  • ・4分間:ベッドから車いすへの移乗動作を実技観察
  • ・1分間:現場リーダーが1回目の設定(認知症)を説明&応募者の質問
  • ・4分間:歩行介助して椅子に座ってもらう
  • ・3分間:面接者+利用者役で評価
  • ・1分間:応募者への評価の伝達
  • ・6分間:振り返り

 最初はおっかなびっくりでしたが、3クール目となるとかなり慣れてきてなごやかな雰囲気で実技観察トレーニングが進みます。


 やってみてわかったこと。それは実技観察は5分程度で十分終わるということでした。とかく時間がとれないと不安だった受講したみなさんにとっては驚きだったようです。
 トレーニングでは2種類をやってもらいましたが、実際の採用面接では1つで十分です。その施設の特徴に合わせて、認知症の人とのコミュニケーション、重度の方への食事介助、ベッドでの体位変換など工夫してやってみてください、と伝えました。


 終了後のチャレンジシートをご紹介しましょう。
「意外と短い時間で言葉の使い方やその人のやり方、人間性が出るとわかりました」(M.Nさん 現場主任)
「話を聞く面接だけでは気づけない部分も多いと感じた。対応力や人柄が実技をすればわかる部分があるとわかった」(T.Sさん 生活相談員)
「面接する側の準備がどれだけ重要なのか、を感じた。面接をしているようで応募者から面接(評価)されていること。面接の場は真剣勝負だと思った」(M.Tさん 施設長)


 実技観察トレーニング終了後の30分間で「採用後の3か月間定着のための育成手法」を講義しました。
 この内容もみなさんにとっては刺激だったようです。
 「基本は新人さんの居場所づくりです」
 このフレーズが心に響いたとのことです。

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  • シリーズ(10)「地域包括ケアにおける地域密着型サービスのケアマネジメント~グループホーム・小規模多機能型居宅介護の勘所~」(定員20名)
    |日 時|3月27日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2803.shtml
  • シリーズ(11)「地域包括ケアにおける実践的施設ケアマネジメント~特養・老健・療養型・有料老人ホーム(住宅型含む)・サ高住~」(定員20名)
    |日 時|5月22日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2805.shtml
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。

研修会場・写メ日記

北海道江差町主催「地域ケア会議の進め方~地域課題から政策形成へ~」